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社中習作展

華道の展示会の週末だった。といっても、催事場で開かれる展示会とは違い、オープンにアナウンスはするものの、どちらかというとinternalな展示会だ。社中展、と呼んでいるが、それは略称で、本当は「社中習作展」というものであることを前日に知る。確かに、「これまで習った型を参考に、花を選んで自由に活けてみましょう」というポリシーになっているようだ。


出展する花を前日午後に活け、当日夕方の後片づけまでの2日間。準備の日に家元に講評をもらい「何か気になる点はありますか」と聞かれて「ここはこう思うんですが」「そうですねえ」…と実になるフランクなやりとり。家元といってもわりと気さくなおじさんで、本人よりもだいぶ年配の先生方が彼に萎縮して話しかけているのを見て、おもしろい世界だなあと感じる。自分の作品でもあるが、自分の先生に手直ししてもらい、その社中として作品でもある。「ほめてもらってよかったわねえ」とうれしそうな先生の顔が印象的だ。


おそらく、外から見ると(始める前の自分がそう見ていたように、)かなりクローズドな世界と思われがち。しかし、華道に限らずと思うけれど、触れはじめてだんだんとその「世界」の一員になると、男性が異常に少なく、平均世代が高めである点を除けば、案外普通のコミュニティであることがわかる。この世界独特の上下・左右の人間関係と、それに気を遣っている先生とのコミュニケーション。気遣うこともあるが、花や木が主役でありつつ、それにかかわる人間もまた主役。こういう、仕事とはまったく離れた別世界を知っておくのもいいことだと思っている。