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「渋滞」の先頭は何をしているのか?

おそらく本当に書きたかったことは、第1章と第2章に集約されている。


高速道路などで採った膨大な統計データから、渋滞が起こりはじめる状況、しきい値となる速度などを導き出している。前後に並んだ車が徐々に動きだす速度の差を「膨張波」として見立てて、その波の挙動に一定のルールがあるという発見。おもしろい。「メタ安定」「臨界密度」など、物理学の考え方がわかりやすく適用されている。こんなフィールドワーク+データ分析に一度はどっぷり浸かってみたい。


第3章以降は、書籍向けなのか、世の中いろんなところに「渋滞」があるよという哲学論。ボトルネック、パーコレーション、集団心理などがキーワード。人事組織やSCM、社会問題などにまで言及している。「問題はこう考えてもみられますが、その解決は私(または渋滞学)の役目ではありません」というスタンス。セミナーでさらっと聴くとおもしろいと思うけど、書籍として読むと「So what?」がいくつか。


「渋滞」の先頭は何をしているのか? (宝島社新書 291)

「渋滞」の先頭は何をしているのか? (宝島社新書 291)