always one step forward

APECのある日常と、2つの平和

横浜厳戒 APEC警備に全国の警察官集結
会場の最寄り駅、横浜高速鉄道みなとみらい駅に到着すると、電車の窓越しに何人もの警察官の姿が目に飛び込んできた。ホームだけで10人はいるだろうか。最初に出会った警察官の制服には「長崎県警」の文字があった。

会場(パシフィコ横浜)にわりと近い職場であり、昨日終わった本番(首脳会議)の約1ヶ月前から、遠方からの応援警察官の警備風景には見慣れることになった。約2週間前までは、北海道、青森、山形、福島、新潟、栃木、とおもに東日本の方々が多く、本番付近になるともう「全国版」で、静岡、長野、愛知、岐阜から愛媛、熊本、長崎まで、いろんなところから来られているなという風景だった。さすがに写真は撮っていないけれど、交差点に停まっていた白バイ5連隊には「おおーっ」とちょっと見入ってしまった。ファーストレディ一同やオバマさんが訪問した鎌倉は、古都つながりなのか、京都府警の皆さんが多かった。


印象的だったのは、熊本県警の皆さんだ。「警備中も一般市民の皆さんにあいさつしよう」のようなモットーがあったのかもしれないが、通勤の朝や昼休み、道行く僕らに「おはようございまーす」「こんにちは」と、誰彼となくあいさつをしてくれる。自分が「マークされる人物であるはずがない」とわかっていながら受ける、慣れない警備の視線は、たしかに少し窮屈だった。おそらくそういう心理から、歩みを速める人々も多い中、熊本の皆さんには自然とあいさつを返すことができて、窮屈さからの反動で、なんだかあたたかい気持ちになった。こんど九州行ったら熊本行ってみるかとか、熊本に対するイメージも上がった。


応援者の待機場所(要は宿泊場所だろう)には万葉倶楽部も使われていたとのこと。宿泊代、人件費というわかりやすいところから、会場だけでなくその周辺のバリア、民間の警備会社、車両やヘリコプターまで、いろんなところに相当なコストがかかっているなと感じた。結果的に大きな事故やテロもなく、平和を守れたということになるのだろう。本番終了後の翌日(つまり今日11/15)は、上記のような風景−至るところにあった検問も、駅改札やホームの警察官も、塞がれた自動販売機の取り出し口も、そこかしこのゴミ箱の撤去も、−まるで幻だったかのように、普段通りの景色に戻った。見慣れた分、逆にちょっと寂しくもあったが、これもまた普段から享受できている、一種の平和なんだなと思った。