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秀英体100

秀英体100」生誕100年記念の展示会があったので行ってみた。時代に合わせて、歴史ある字体が、使われ方を変えつつも広まってきたという内容と、企画者のフォントへの愛着が観られておもしろかった。

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古くは新聞記事や広告、雑誌などの印刷(活版)に使われていた「活字」は、3mm角くらいの小さな金属棒(マッチ棒の背中なみの小ささ)で、組版時にはこれらを手で「1文字ずつ」選んでいく。まさにDTP以前の組版というその文字通りで、その元となった活字の実物が展示されていた。外部購入から→自社製造するようになったということで、その製造や管理ノウハウも相当蓄積されていたようだ、というのがわかる映像が流れていた。現在は、書籍やポスター、電子書籍端末(GALAPAGOS)、あるいは一部のゲーム画面でもフォントとして使われているようだ。


秀英体の字型が世代変遷を経る中で、たとえば「あ」の文字がどう変わってきたか、という展示もあった。ある世代の「あ」に「カッコイイ!」と吹き出しがあり「え?」という感じだったが、ずっと関わり続けた担当者ならではの独特な所感に見えておもしろかった。もう今や、パソコンで手入力して→フォントを選択→印刷やPDF出力すればきれいな文書ができてしまう時代で、さらには電子組版DTPどころか、印刷物からスキャンして「電子書籍もどき」をつくれるようにもなっている。そういう変化に対応しながら、フォントそのものに商品価値を与えて開発や展開を続けている点に、分野は違うけれどエンジニアとして好感を持ったので、勝手ながら引き続き応援したい。