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always one step forward

IT寄りの日常・IT以外の日常。ランニング。美術展や展示会感想。長文でもなるべく読みやすく構成する練習を兼ねています

2012/8/13 立川談春独演会 @ 横浜にぎわい座

daily

いつも販売開始数時間で完売、というレアチケットを譲っていただけたので一緒に観に行った。いわゆる「寄席」の雰囲気を初めて感じられたのもあるし、本人だけの2席を堪能した後は、素人でも「ああ、これは人気あるのわかるな」と感じた時間だった。

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寄席の雰囲気

背中に「笑門来福」の書がかかり、座布団が1枚置かれ、白い照明がきれいに反射した板の舞台。2F部分(舞台が3Fなので正確には4F席)から見下ろす感じの席だった。見下ろした客席には老若男女、、しかし年配の男女が何となく多いか。1人で来ている人は、意外と少なめだった。行儀のいい人がほとんどだけれど、見るからに酒を入れてからふんぞり返るように座る最前列の人、浴衣に下駄、と粋な風情でその場を楽しむ人、といろいろだった。


席ごとに飲みものを置く台があり、席で飲食できる。映画館でもまあそうなのだけれど、なんだか違和感があった。映画と違って開演中も明るいのと、「演者が一生懸命目の前で芸を披露しているのに、その前で飲み食いする」というシチュエーションに慣れていないだけか。さすがに落語の合間に音を立てて何か食べる人はいなかった。誰かのiPhoneのメール着信音が鳴った瞬間、談春さんが噺の中で(おそらく、やんわり注意する意味で)それを拾う。やっぱり気になるし、(談春さんが)他の人に申し訳ないという思いもあるのだろう。これはもちろん、客が気をつけないといけない。

芝居

「人気というからには何か持っているものがある噺家さんなんだろう」と、観る側としてはそれなりにハードルを上げていた。しかし、予備知識がいるのかと思ったらそれもなく、能書きもいらず、素人を楽しませてくれた。

・おさん茂兵衛
 仲入り
・鰻の幇間(たいこ)

立川こしらさんは以前「落語に著作権はないんですよ」と話してくれたけれど、噺の内容や流れをつまびらかに書き残されることは、噺家さんにとって実は not welcome なんじゃないかと勝手に思っているので、内容を詳しくは書かないことにする)

  • おさん茂兵衛
    • 枕が始まり、わかりやすく噺に入った、、と思ったらまた枕的な内容に戻る。え、まだ入ってなかったのか、と思いつつも噺はするすると続き、きれいな人情ものの講談のようだった。‥といっても講談を聴いたこともないけれど、要は、想像していた "落語" の流れとはちょっと違っていた
    • しかしこれも、次の2席目と合わせて聴くと味わいがある。「こんな落語もあるんですよ」と、毛色が異なる2つをあえて出してくれたのだと思う
  • 鰻の幇間(たいこ)
    • これはわかりやすい。「太鼓持ち」の話。サバンナ高橋をイメージすれば万事OK。ストーリーが元々おもしろいし、談春さんが演じ分けるキャラクターに愛着が出てきて楽しかった
    • だいたい合計4-6人出てきて、同時には3人がやりとりする場面が多い。声の高さ、話すスピード、訛り、言葉づかい、いろんなパラメータを絶妙に組み合わせて、しっかり3人が3人とも別人になっていた
    • さらに、場面が変わって出てくる別人はやっぱり別人。たとえば、ABCDEが登場、まずABのやりとり、次にCDEのやり取り。場面が変わってまたAさんが出てくると、ちゃんとAさんとわかる。(Cさんとは聞き違えない)
      • これが、落語まだこれからがんばってますという人だと、AとCが同じ人に聴こえてしまったりして、聴く側としては混乱してしまう。表現元は、いま目の前にいる噺家1人だけなので、一度混乱がうまれると何だか興ざめ
    • この人がすごいと思ったのは、相手に話しかけるそぶりだけで、話しかける相手がそこにいるかのように感じてしまうところ。ABのやりとりなら、演じているのはAだけなのに、Bの言葉もテンポよく語らせることで、Bがその場に(客席に)いるように感じてしまう。(マニアックに書けば、電子顕微鏡での実空間観察だけでなく、その対象物質がもつ散乱パターンによる逆空間観察に近い。目の前にあるものだけでなく、目の前にないものをいかに表現するか、をつきつめた世界)
    • たぶん、うまい落語家であれば、誰でもできることなのだろうけれど、目の前でこれを観られたのがよかった
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