52nd ACC CMフェスティバル入賞作品上映会
昨年観たら面白かったので今年も参加した。15秒〜60秒、わずかな秒数でメッセージを込める圧縮の芸術作品をひたすら楽しむ、密度の濃い時間だった。今回は、シルバー以上の20作品それぞれに、解説の伊藤直樹さんによる一言解説 - 製作側の視点や、なぜこの作品の評判がよかったかなど - が加わり、予想していなかった分ちょっと勉強できてさらによかった。
昨年と今年の違い
昨年は、例えばサントリーの「上を向いて歩こう」「見上げてごらん夜の星を」が象徴的であったように、震災後を大きく意識させる(つまりCM自体を流すことにも議論がおこるような)中での作品が多かった。東京ガス「お弁当メール」などもそうだ。けっこうこみあげてくる作品が連続していたのを覚えている。
いっぽう今年はどちらかというと、元気を出して前向いて行こう、というトーン、言ってみれば例年通りの作風のものが多かった。サントリーBOSSやダイワハウス(リリーフランキーと深津絵里夫妻シリーズ)など、昨年からの人気シリーズも健在。震災からの立ち上がりを意識させる、メッセージ力を持った作品も多く、グランプリをとったトヨタとホンダ、岩手日報社の三陸鉄道編などいずれもそうだった。
個人的には、昨年と異なるのは「テレビを自宅から撤去してしまったので、流れる作品はすべてその場が初見」という点だった。ダイワマンの続編がけっこう作られていたことも知らず、トヨタのReBORNシリーズなども、おそらくテレビを付けていれば一度は目にしたはず。企業サイトを回れば動画で見ることはできるけれど、わざわざそうしないのがCMというもので。。いい作品と評価されたものは、商品名を連呼するような内容でもなく、いい意味でショートフィルムのように鑑賞できた。あとは概要と伊藤さんの一言解説のうち印象に残ったものを。
概要
- 日本で年間万単位で制作されるテレビ/ラジオCMのうち約2000作品がこの賞へ応募し、
- 審査員(テレビCM部門は20人超)の投票合計で得点が決まり、
- ファイナリスト105作品、
- そのうちブロンズが22作品、シルバー10作品、ゴールド8作品
- グランプリ2作品
- ↑がすべて毎年11月に決まる(審査員自らが制作者である人も多く、もちろん自分の作品には投票できない)
- この上映会はどうやら人気?のようで、受賞のある11月から翌年3月(つまり今回の横浜)まで全国キャラバンで上映されている
一言解説メモ
- ファイナリスト(ブロンズに届かなかった作品)と、ブロンズ以上との違い
- 世代を超えた評価があったかどうか
- 審査員の世代幅が広く、30代〜70代
- ある世代に受けても、別の世代には全然‥という作品が、ファイナリストには多い
- ある程度、どの世代にも評価された、という作品がブロンズ以上に入る
- 1年以上続くシリーズ
- 大手クライアントでも通常は年契約
- 翌年も引き続き制作されるシリーズは、CM自体に人気があり、かつ企業の売上に貢献した場合だけに限られる
- CMにはパターンがある
- 擬人化。広告したいものを人に置き換える
- 以前のイメージを置き換えて使う。観る人のイメージを使わせてもらう
- サントリー「オランジーナ」 ← 寅さんのイメージ+リチャード・ギア
- サントリー「なっちゃん」 ← 以前のなっちゃんのイメージを利用しつつ、懐かしい雰囲気を混ぜる
- 何のCMなのか?を一番最後に明かす(海外に多い)
- 伊藤さんがおそらく一番褒めていたのはこの作品
- ここで、一緒に(野党編)
- 絵のメッセージと言葉のメッセージが微妙にずれている。演出力