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オーデュボンの祈り


おもしろかった。登場人物がそれなりに多く、冒頭から前半にかけて、ジグソーパズルのピースがさらっとばらまかれるように描写される。「事件」への関わりかたは人それぞれで、背負っているものが何なのか、なぜこんな行動をとる/とったのか、というのが後半。シュールな世界だけれど、善悪含めた人間味の描かれ方は、現実そのものとも思えた。


場所や時代が変わるたびに、段落の間におもしろいマークが挟まっている。ドラマや映画なら簡単に把握できるけれど、小説で場面の転換を表すなら、この方法はわかりやすいと思った。


後半、園山さんと桜を混同して読み進めてしまったのをちょっと後悔。比喩として使われるカオス理論の説明(37ページ、129ページ)が仕事にもちょっと応用できそうと思った。小さいながらこれも収穫。

リョコウバト

オーデュボンの祈り (新潮文庫)

オーデュボンの祈り (新潮文庫)