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罪と罰 (まんがで読破)


たしかにさらっと読めて、あらすじと結末を知ることができた。「読破」とまでは言いづらく、けれどもちろん、そうしたいと思う人は原著を読んでください、ということだろう。


「凡人か非凡人か」と人の属性を二値化してしまう、今となっては滑稽な考え方。末尾の新世界への示唆が現代に跡を残している。「法律的に無罪でも、心の中で苛まれる罪の方はどうするんだ」と悩む姿は、今やミステリー小説やドラマでも当たり前に描かれているように思うけれど、当時にここまで真正面から向き合って書き連ねたところが、名作として残っている所以なのかなと思う。主人公ラスコリニコフと判事ポルフィーリの論戦の箇所は、たしかに他の文章や映像で見てみたいと感じた。


…とごにょごにょ言ったところで、このシリーズの最大の功績は、冒頭にある似顔絵つきの人物紹介のページだ。慣れない名前を読み分ける必要がある。例えば、ソーニャ、ドーニャ、アリョーニャが登場。この姿が描き分けられているために、何の混乱もなく読める。それだけでも役割を果たしている気がする。


罪と罰 (まんがで読破)

罪と罰 (まんがで読破)