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魔王

ファシズムと不思議な能力を題材にしたSF作品だ。どちらかというと映画ではなく、全5回のNHK土曜ドラマでじっくり観てみたいなと思った。



ときどき、夢の中にいるような描写−「急に目の前が開け空が明るくなり」「なじみの人がなぜか目の前に立っていて」−のような描写(そういう文章は実際は無いけれど)が挟まる。「夢うつつ」ではないけれど、夢に挟まる現実の混沌さが、うまく強調されているように思えた。


ちょうど初出が2004-2005年の小泉政権の頃、2005.8.8の郵政解散につながる時代。あの「熱狂感」は、ファシズムとは少し異質な気もする。けれど、いま覚めて思い返して気づくあの雰囲気に、当時は気づかなかった気がする。


「魔王」は何の例えだったかとあらためて思い返すと、考えられるのがいくつかあった。主人公自身とも言えるし、犬飼首相、またはマスター、またはそういう主体を求めていた時代そのものとも言える気がする。


魔王

魔王