always one step forward

ソーシャル・ネットワーク

主人公の視点でない脚本が元であり、フィクションの部分も多いらしいけれど、facebookを立ち上げたマーク・ザッカーバーグ本人にまつわる実話をもとにしつつ、スピード感と孤独感が交互に描かれていておもしろく観られた。


いきなり、早口のセリフ回しで恋人どうしの喧嘩が始まり、字幕を追っていても精いっぱい、これは観るのがしんどいなと思ったのが最初。ただこれは最初だけで、結果的にはこのスピード感が、中盤の、ひたすら上昇・展開していく構成(知り合いのボート部のウィンクルボス兄弟からサイト構築の依頼を受け、それヒントを得て、依頼にはやんわり返事を遅らせながら、自分でサイトを立ち上げて、自分の大学から他の大学間に広める)にうまくリンクしているなと、観た後で思った。その後にショーン・パーカーと出会い、西海岸へ拠点を移し、資本を獲得し、100万人登録を達成するところまで、大学生のニーズを掴んだ「栄光編」とも言える内容。後半は、最初からの仲間だったエドゥアルドやウィンクルボス兄弟と訴訟沙汰になり、得たものの代わりに失ったものも大きかった、という孤独感が残ってしまう。

  • facebook という単語の由来は、最初に作った、女子学生の顔写真を比較するサイトから来ているというのがわかった。前半、facebook サイトが立ち上がる前に出てくる facebook という単語は字幕では「名鑑」と訳されている。
  • 「The facebook の The は取った方がいい」というパーカーの台詞がいい。たしかに、よく使われているWebサービスやサイトに The がついているのは見たことがない。帰納的だけでなく演繹的にも「The はないほうがいい」ことがわかる。
  • ウィンクルボス兄弟がボートレースを行うシーンだけが、ほかとはタッチの異なる映像でかっこよく描かれていた。実際は「ConnectU論争」で訴訟を起こして、脚本そのものには彼らの証言も多く力になっているようなので、これは本人達へのオマージュなのかもしれない。(英語版Wikipediaによると、訴訟そのものは1株当たりの価値をどうするかでもめながらまだ続いていて、最高裁まで持って行くぜと言ったものの、結局取り下げたようだ。)