考えよう 学校のカラーユニバーサルデザイン
- 作者: 彼方始,カラーユニバーサルデザイン機構(CUDO)
- 出版社/メーカー: 教育出版
- 発売日: 2013/05
- メディア: 単行本
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色弱の子供には色がどんなふうに見えるか?正確に伝える場合はどんな表現にすればよいか?
いろんなケースを題材に、子供たちへの説明や図示の仕方に気をつけましょう、という視点のガイドブック。「学校の」とあるように主に教育現場向けだけれど、幸いなことに色弱という世界におよそ触れることのない自分にとっても、街中の標識やガイドの色使い、WordやPowerPoint、HTML文書をはじめとする資料作成向けにも参考になった。
"カラーユニバーサルデザイン"で検索すると自治体レベルでガイドラインを定めているケースも多い。たしかにこの考え方は、色に関するユニバーサルデザインで、かなり一般的な用語のようだ
- (本題とは無関係だけれど、最近は、新しく知る単語はこの「Yahooきっず」で検索するようにしている。同じ単語でも平易な表現で解説され、キュレートされたサイトもわかりやすい内容が多い)
気づきにくい注意点と工夫例の、わかりやすい紹介
黒板や体育用具を使う学校の授業、外を歩くときの引率のしかた、などを想定して挙げられたケースが約30。その1つ1つについて、おおむねこのような構成で見開きが固定され、読みやすい。(あまりページ写真はのせないほうがいいと思うけれど、よくデザインされているので参考までに載せます)
ポイントをまとめるとおおむね以下の通り:
- 色の名前"だけ"で説明するのはやめよう
- 「この赤い四角で囲った数式は大切です」もし生徒の立場に立っても、何気なく使ってしまいそうな表現。これがカラーユニバーサルデザインの観点からは incorrect になる
- 黒板に赤チョークで書くのはやめましょう
- 黒板の深い緑色と、赤色は、区別がつきにくい
- 同様に「水色」と「ピンク色」も区別がつきにくい
色弱についての基本も理解できる
末尾のほうには色弱(昔は色盲、少し昔は色覚異常と呼ばれていた)そのものの詳しい説明がある。
- 性別で見ると男性により多く、男性20人に1人、女性500人に1人
- 1クラス40名、男女同数とすると「1クラスに1人」色弱の生徒がいる計算
- 色の見え方はC/P/D/T/A型の5種類に大分される
- 男性の場合、色覚正常「C型」が95%、赤と緑が判別しづらい色弱「P型、D型」で約5%
- → "20人に1人"
- 遺伝性がある(わりと確定的、はっきりしているよう)
たしかに色覚が "正常ではない" という意味では病気なのだろうと思っていた。しかし、これを読んでからは、思っているより周りに色弱の人はいるかもしれない、仮にそんな人が周りにいて、その人が自分の資料を見たらどう感じるだろうとか、いい意味でケアすべきポイントが増えたのは収穫だった。