always one step forward

最終回だけ感想「半沢直樹」

何やら話題だったTVドラマ、たまたまテレビ観られる環境だったのもあり、最終回だけリアルタイムで観られた。本当に銀行でこんな大立ち回りは(でき)ないよな、と薄々わかってはいつつも、人間味ある芝居や深い演出が感じられ、決め台詞などの動だけでなく静の場面も十分に存在感があり、久々にテレビドラマに引き込まれた。

わかりやすい勧善懲悪、水戸黄門型と評する意見にも少し同意するけれど、「では同じ原作小説、同じ水戸黄門型でよいので、視聴者を惹きつける映像作品を作ってください」と仮に言われたときに、ここまでのものが作れるだろうか?(反語)と考えると、その制作力というか、多数のスタッフと出演者が作り上げる、テレビドラマというものの底力のようなものを感じた。

  • 大和田常務、役員会議室(学士会館201号室)での土下座のシーン。崩れ落ちたくないのに、体全体をがくがくと震えさせて崩れ落ちる、コマ送りでないのにそう見える、アナログな人間の感情を無理矢理がくがくとデジタル化させたような、香川照之さんの圧巻の演技
  • 内藤部長。役員会に呼び出しがかかった半沢を席まで呼びにいき、気合いの張り声で半沢を送り出す。声だけながらここはまちがいなく"動"のシーンで、送りだす気合いが画面から飛び出してくる感じ。行員がたくさん同じ画面にいれた一体感の演出もよかった

  • 剣道場で近藤を待つ半沢、のシーンもそうだけれど、
  • 戻ってきた近藤を半沢+渡真利が迎え入れ、同期三人が肩を組んで歩きだすシーン。無音だったかBGMだけだったか、同期ならではの連帯感がよく出ていた
    • 部署や仕事は分かれても、なぜか消えないあの同期のつながりというのは好き。 転職した今でもたまに声かけてもらい飲んだりするのは楽しい時間

あらすじ追っかけは動画で

TBSがYouTubeユーザーチャンネル にわかりやすいあらすじ動画を上げてくれているおかげで、それまでの各話の進み具合は把握できていた。もちろんリアルタイムで観る楽しさもあるのだろうけれど、今の時代、ネットや録画で好きな時間で追っかけを行うだけでも、充分楽しめると思う。


【TBS】100倍返しなるか!?遂に最終決戦へ!!日曜劇場『半沢直樹』第9話(9/15)見逃しダイジェスト&最終話(9/22)予告 - YouTube

原作小説

読んでいなかった。観終わった後は読みたくなったけれど、まあたぶん読まない。ドラマ続編が放送されたら読むかも。

「半沢直樹」続編に意欲 福沢克雄監督「頭取になるまで描きたい」ハフィントン・ポスト 2013/09/25

ドラマではないけど、「原作を読んで映画を観る」パターンはいくつも経験していて、個人的尺度としては、

  • 小説を読んだ時点で印象に残ったシーンが10あったとして、
  • 映画化されるとそのシーンの数はせいぜい3〜4という印象。6以上もあればかなり満足できると思う

要は、"読後感"をあまねくカバーし、あるいはそれを超えるような映画には残念ながらまだ出会えていない。映画を先に観れば充分楽しめたかも、という作品で、映像/音声ならではの美しさがあっても、小説にのめりこんだときに自分の中にできる世界観には何故かかなわない。

この意味では、池井戸潤さんの作品のうち「〜バブル入行組」シリーズに関してはこのテレビドラマの印象でがっちり固まってしまった感がある。それはそれでいいのかなとも。

オレたちバブル入行組 (文春文庫)

オレたちバブル入行組 (文春文庫)

オレたち花のバブル組 (文春文庫)

オレたち花のバブル組 (文春文庫)