2014.04.17 googleVis開発者トークに参加 - 第1回グローバルTokyo.R
少し前にWeb上で見かけたgoogleVis。その開発者であるMarkus Gesmannさんが来日、トークを聴ける機会があったので参加した。世の中の高価なBIツールほどではないものの、Rのインターフェースを入り口に、JSONベースのデータを簡単なコマンドで可視化できる、手軽で面白いツールだなと感じた。
資料は↓に公開されているので追っかけレビューは割愛。コンセプト・仕様〜データ構造〜新バージョン0.5.1含む表示例まで、がシンプルにまとめられている。7ページのロイズ写真が綺麗
googleVisで検索すると日本語情報もいくつか見つかる。下記あたりは入り口としては最適
以下現地で感じた点などをいろいろと:
イントロダクション(所属と開発動機)
- ロイズ(Lloyd's in London - 世界最大の保険市場、およびその法人としての保険組合)の人
- 17世紀から続き、保険市場というもの自体の起源といってもいいこの名前を、こんなところで聞くとは意外
- Googleの人と思っていたら違った。数学者でもあると。「この中に数学者いますか?(挙手ゼロ人)」
- 保険といえばリスク分析で、ノウハウの塊でもある高度な統計モデルがRの中で動いているんだろうな。R in insurance なる活動もされており、会社外コミュニティの形成や活動にも熱心な感じが伺えた
googleVisとは?
この両者を組み合わせてデータを可視化できます、というRのパッケージ
- R(および広くいえばそのデータフレームというデータ構造)
- google chart Tools
あのHans RoslingさんのGapMinderに触発されたのが開発動機とのこと(9ページ)
- Hans Rosling: Religions and babies - TED.com
- この動画は2:00過ぎからGapMinderでの分析結果紹介。発言を文章で追えるのがよい。4分過ぎからこの人らしい語り口が入ってくる
- Google API, AJAX, JSON format, ...
- 「何がむずかしい?むずかしいわけがない」(13ページ)
- flash based or HTML5/SVG based
- RデータフレームをJSONオブジェクトに。RJOSONIO
- googleにデータ送らず可視化できます
- デモはパッケージ読み込み後
demo(googleVis)
でどうぞ - 結果はR HTTP help server でHTML出力
- ヘルプドキュメント中の "Vignette" にもサンプルあるのでどうぞ
機能紹介(バージョン0.5.1新機能含む)
Geographical information(25-29ページ)
url < http://en.wikipedia.org/wiki/List_of_countries_by_credit_rating
- ‥これだけでページ内のテーブルデータを読み込んでくる。実用途がどれくらいあるかはさておき、エレガントな読み込み
- geochart of earth quakes
region="JP"
と指定すると日本付近の地図表示が行えるようだ
df <- data.frame(Adress=c("東京都新宿区北新宿2-21-1")
を使って地図上にピン立てできたりもするgvisgeochart
Web検索するといろんな使用例が見つかる。Rのいいところ(SASだタブローだ、ではなかなかこうはいかない)
Sankey chart(30ページ)
- あのナポレオンのロシア侵攻の失敗っぷりを示すインフォグラフィックでおなじみ。ただ、これをサンキーチャートと呼ぶのは初めて知った
- 工程管理、物流分析向け?日本国内ではほとんど見ないチャート
Calendar chart(31ページ)
- カイロの日ごとの気温をカラーチャートで
- 何かのスカラー値を年月日ベースの時系列でカラー表示。名前はあっさりだけど、けっこう効果ありそうなチャート
Annotation Chart(32-33ページ)
- 日次/週次/月次/年次/‥ のトレンドを切り替えて表示。株価チャートに近いけど、HTML5ボタンクリックでページ再読み込みなく描画してくれるのでおもしろい
複数チャートを1ページに表示(34-35ページ)
- 異なる種類のグラフをオブジェクトを1ページに表示可能
- いわゆるシンクロナイズドな表示、チャート1の項目"A"をクリックして、別チャート2の同じ項目"A"をハイライト表示‥はできないようだった。まあそこまでできたら市販のBIツールの出る幕なくなるか
Webページ内へ埋め込み(36-38ページ)
gvisMotionChart
を例に紹介- (たとえばDropbox中の)公開.htmlファイル内にチャートを載せておき、iframeタグで挟んでもOK
future plan(40ページ)
- shinyとの連携
- やっぱりbusiness intelligenceの文字もあった
目の前でトークを聴くこと
公開資料は後でも読めるので、その場でこそ得られる経験は何だろう、と思いながら聴いていた。以下のような点は、書き起こしや動画配信ではなかなか得られない
- 発表者の一挙手一投足、言葉のトーン
- → 参加者とどう交流を持とうとしているか、何というか、その姿勢がわかる
- 質疑応答や、トーク後に行われたLTに対するGesmannさんの質問
- → 日本のRユーザーがどんなふうにRを使っているかを知り、googleVisの開発に活かそうという意志が感じられた。この点では、後半の質疑応答が若干かみ合っておらずちょっと残念
英語メインの集まりもよいかも
- かみ合わないのは、言語が英語ベースだった点がもちろんある。でも聴きながら、他の集まりでも思い切って英語メインにしたら意外と面白いのでは?と感じた
- 発表する人は:英語をがんばる
- 聴く人は:全部聴けなくても、英語がんばろうのモチーベーションになる(僕は今のところここ)
- 国内在住の外国人も:参加しやすくなる(はず)
- 「グローバル」を冠した意図はもしかしたらそのあたりにもあったのかも。第2回もしあればまた参加したい。どうもありがとうございました