全員で稼ぐ組織 - JALを再生させた「アメーバ経営」の教科書
会社更生法申請、"倒産"したJALの経営再建に要請され、わずか数年で結果を出した(会社更生法申請から2年8ヶ月で再上場)あの稲盛さん。その実務的な懐刀ともいえる森田直行氏のわかりやすい著書。
JAL再建は「アメーバ経営」の大型導入事例であり、そのエピソード(第2章)を中心に、他企業や病院への導入事例(3/4章)、中国での展開事例(5章)と成功体験が語られる。
アメーバ経営とは何か、という誰もが気になる点
冒頭にさっと紹介され、かみ砕くとすると:
- 部門別採算制をとる
- 部署よりさらに細かい、小さなまとまり(アメーバ)に分ける
- アメーバごとに収支を計算する(しかも月単位など短いスパンで)
- 社内間で、費目を立てられないような内容も、手数料のように定義して収支計上する
というところだろう。一朝一夕、文面だけで理解できるものではない。しかしこの本を読んで、損益計算書よりは "家計簿" のイメージを持てばよいことがわかった。実際、第3章では、荻野工業の新入社員リーダーが「買い物帳」をつけるシーンが描かれている。その積み重ねが予実管理につながり、コスト管理の改善、利益向上につながったと。
文章構成がクリア
どの章も、ロジックを説明し、問題点を指摘し、改善案を考えつくし、行動に出てその結果をファクトとして並べる構成で、とてもわかりやすい。さすがシステム開発に熟練した人らしく、クリアな要件定義の過程を眺めているような感じだった。
失敗論も読みたかった
成功論だけでなく、失敗事例 − アメーバ経営を導入してしばらくがんばったが、どういうわけかうまくいかなかった − という事例もぜひ読みたかった。当然、これこれが理由で、こうすべきだった、という前向きな結言にする必要はあるだろうけど。
- 書籍のさわりは以下のサイトで特集されているので、内容に興味があれば買う前にみてみるとよいかも
- また、JAL再建、社員の目で再建までの2年を語る特集ページもあった。アメーバ経営を導入した側→導入を受けて実践した側という視点変化で、この本を読んでから見てみるとおもしろいと思う
- 作者: 森田直行
- 出版社/メーカー: 日経BP社
- 発売日: 2014/05/29
- メディア: 単行本
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