バンクーバーマラソン2015完走記:大会当日編
2015/5/3、BMOバンクーバーマラソンの完走記録。(完走記の目次はこちら)
- 冒頭の写真:文字通り「あと1km」地点に大きく掲げられたフラッグ。参加者それぞれが、自分なりのペースで41kmを経てここに至る。これを見るためにもう一度参加してもよいと思えるくらい
- 下の写真:完走記念メダル。直径8cmくらい、国内大会のそれに比べて一回り大きい。色ぬり、上部のくりぬき加工など凝った作り。(ハーフマラソン版は、赤→青であるほかはほぼ同じデザイン)
記録は5時間半弱。個人的にはフルマラソンの記録更新ながら、速いほうではありません。写真多め、一部動画あり、たぶん長くなりますが、雰囲気が伝われば幸いです。
スタートまで
当日の朝食=おにぎり+烏龍茶。HIS「バンクーバーマラソンツアー」に参加するとついてくる。店名は忘れたけど、袋にはダウンタウン内の日本食レストランの名があった気がする。HISだけでなく、日本の旅行社主催のツアーだとおおむねこのようなおにぎり朝食つきのようだった
http://sports-his.com/marathon/yvr/index_yvr.htm
スタート地点のクイーンエリザベス公園へ。ダウンタウンから南へバスで約25分。微妙に距離がある。スタートとゴール地点に距離があるのは、折り返しの少ないコースならでは
バスの車窓から、先にスタートしたハーフの皆さんを見つける。ハーフだと7時スタートで、ホテルロビー集合はたしか5時台だった。かなり早起きが必要だけれど、この天気なら気持ちよさそう
当日はちょうどよい天気
カナダ政府のデータベースに、2015/5/3当日気象データがあった。緯度/経度から、スタンレーパーク付近の観測点とわかる。コース付近の天気と見てほぼ問題なさそう
走っていた9-14時あたりは、気温(Temp)はせいぜい16℃まで、湿度(Rel Hum)も60%前後。陽射しは強かったものの、とてもよい条件だった。昨年は大会中はほぼ雨だったらしく、その年ごとに天気はどうなるかわからないと言えそう
スタート地点・Gear Checkのエリア分け
クイーンエリザベス公園。荷物を預ける(Gear Check)場合はこのupsトラック前に向かう。小規模な東京マラソン形式
写真、少し左端が隠れているけれど「CORRAL Brown」とある。エントリー時の申告タイムで分けられた、と思っていたらそうではなく、ゼッケン番号ごとだった↓
How do I know which Corral I have been assigned to? | BMO Vancouver Marathon
Marathon
Corral 1 / Bib # 1-1999 / Orange Corral
Corral 2 / Bib # 2000-3999 / Black Corral
Corral 3 / Bib # 4000-5999 / Red Corral
Corral 4 / Bib # 6000-7999 / Grey Corral
Corral 5 / Bib #8000-9999 / Brown Corral
僕は8000番台だったのでbrown。もう少し申告タイムが早い日本人参加者も同じbrownだったし、エントリーがけっこうぎりぎりだったので単に後ろの方になったのかも。未確認
スタート前の風景。のどか
ちなみに、参加者定員はフル5000名、ハーフ12000名。フルのリレーが250チーム(x4=1000名)
しかし、前日のExpoでも参加受付しているくらいなので、定員まではおそらく届いていない。日本の大会と比べてももちろん大規模な方に属するけれど、東京/大阪/横浜/京都などの"大都市大会"ほどの規模はない大会といえる
スタート時刻が近づき、徐々に整列が始まる
ちょっとおもしろかったのは、スタートライン近くでのDJが(鼓舞をかねた)質問:
- 「カナダ以外から来た人は?」約2割?程度(日本から来た人含む)が声をあげる
- 「カナダから、BC州(ブリティッシュコロンビア州)以外から来た人は?」約2-3割
- 「カナダの、Beautiful British Columbia から来た人は?」残り全員(約半分。歓声とともに)
バンクーバーはBC州に属する。やっぱり地元皆さんが多数参加する大会なんだとよくわかった
ちなみにこの"Beautiful" British Columbiaは、もう随分前からこのBC州のスローガンであり、この画像検索でわかるように、州で登録された自動車のナンバープレートにも銘打たれている
スタート!カウントダウンから動画で(音が出ます)
コース概観
http://vancouvermarathon.jp/race2015/
バンクーバーマラソンのフルマラソンは、「Forbes」誌で、「Top 10 Destination Marathon」にも選ばれている、美しい景色が楽しめるコースです。
スタートは、クイーンエリザベス公園。その後、UBC(ブリティッシュ・コロンビア大学)のキャンパス内を通り抜け、ジェリコビーチ、キッツビーチに沿って走り、スタンレーパークのシーウォールを周る。
ダウンタウンの真ん中、バンクーバーコンベンションセンター近くでゴール。
- 公式サイトのマップ
- GPSログより。2つあるオレンジのポイントのうち下側がスタート(クイーンエリザベス公園)
- ルート上の色は高度で、
- 前半:黄色↔︎オレンジでそれなりのアップダウンがある
- 後半:黄緑が多く、ほぼ平坦
チップで計測された記録。日本の大会と異なり、SPLIT1から8までに分かれている。マイルベースでもないし、どういう区切り方なのだろう?
リレー区間(LEG1−4)がわかりやすい
別途、フルマラソンの距離を4人でリレーするレースがあり、その区間の分け方(LEG1〜LEG4)がわりとわかりやすかった。振り返りもその区間分けに沿うことにする:
LEG 1(〜12km)
区間中はずっと、郊外の住宅街、という感じだった。
10km付近に「このコース最大の上り」がある。逆に言えば、それを過ぎればきつい上りはないとも言える。前半にあってくれるのはちょっと助かった
こんな感じの道路が続く
楽器で応援の皆さん
全コース中たしか7-8箇所、こうやって楽器演奏の応援があった。エレキギターやヴァイオリン演奏があるのがいかにも海外、という感じだった。日本の大会の太鼓、ブラスバンド、チアリーダー、応援団の声援と同じく、元気をもらえた
何箇所かで動画を撮った(それぞれ音が出ます)
道中は続く
"YOU ARE AWESOME!" かわいい。この足の組み方もポイント
トイレの混雑はそれほど見られなかった
ちなみにこれは、白い帽子のおじさん(日本人だったかもしれない)が様子見で覗こうとすると、左側に並んだ人が「並んで!」と話すシーン。行列は守りましょう
そこかしこに、自転車専用道路を示す道路標示があった。道路の広い幅は明らかに自動車文化であることを示すものの、同じくらい自転車も日常に浸透しているようだ
"RED LIGHT CAMERA"と見える。赤外カメラで監視してまっせということか
"WE ARE PROUD OF YOU" (君を誇りに思う) "NO EXCUSE"(言い訳は無しだ)
大きな木々も見られた
ギター+ヴァイオリン。屋外で聴けるヴァイオリンが新鮮でよかった
コース最大の上り坂
10km付近。写真では分かりづらいけど、たしかにそれなりの上りだった。1kmは無かったと思う
2月の青梅マラソンの前半の上りを想像して、それよりはましだな、とじっくり挑戦したけど、坂の後半は歩いてしまった
小さいけれど青い看板「FINISH / KING & QUEEN OF THE HILL」
大層な名前をつけるなあ、と思いつつ、たしかにこの地点で坂は終わった。
平坦な道に戻る。「一番きつい箇所はもう終わったよ!」のようなメッセージもこの辺にあった気がする
LEG 2(12km〜24km)
先ほどの、コース上もっとも急な坂を過ぎると、突き出た半島をぐるっと回りきる形の区間に入る。地図上は海岸沿いに見えるけれど、海からは距離があり、やや高台になっているようで、予想と違い海はほとんど見えなかった
13km地点では、わずかに(おそらく距離調整のための)折り返しコースがある。このように、他のランナーたちと対向して走る区間
逆に言えばここ以外は一方通行。その分、「コース全体でいろいろな景色が楽しめます」というキャッチフレーズはその通りだった
よく見ると桜の木。品種まではわからなかったけど、3−4月であれば綺麗な花が見られただろう
写真左下に「UNIVERSITY OF BRITISH COLUMBIA」と見える。名門、ブリティッシュコロンビア大学(UBC)のキャンパス内へ
広い道路、低い建蔽率。大学。「筑波大学っぽいな」と思った。この区間はひたすらこの景色で、日陰も多くなく、後から考えると、けっこう試練の区間だったかもしれない
10マイル(=16km)地点に到達。
道中、キロ表示は1kmごと、マイル表示は5マイルごとだった。つまり「15(km)」を見た後にこの「10」を見ることになる。キロとマイルで色分けしたりするとよさそうだけれど、まあ現状でも特に問題なかった
「NITOBE Memorial Garden」の文字が見えた。後から調べると、新渡戸稲造さんゆかりのよい日本庭園があるようだ。海外で見る日本語。一瞬、レースでなく観光で来た感覚になり立ち寄ろうかと思った(いや通過)
Nitobe Memorial | UBC Botanical Garden
コースマップにもあるように、全コース中、給水は1−2kmごとと豊富に存在。日差しの強い中これは助かった。
下の写真右端(小さくなってしまったけど)、大会カラーと同じ青いTシャツを着たボランティアが元気に「Water!」「Ultima!」とコップを差し出してくれる。(Ultima=スポーツドリンク。この少し後に書きました)
半島をようやく回り終え、徐々になだらな下りが多くなってくる
バテ気味でピントを合わせる気力も低いなか、20km
貴重な木陰
この女性は、同じくオレンジビブスの男性とずっと並走していて、バイクの撮影隊がずっとついていた。どうやらイタリアの芸能人?のようだった。明らかにイタリア語を話していた
Halfway Mark=半分。約21km地点
これはたしか22km地点。ようやく海!が見えた。コースマップ上では「Spanish Banks」と書かれたあたり。見える湾はEnglish Bay、遠く向こう側にはスタンレーパークの半島が見える
15マイル=約24km地点。我ながら、距離表示しか撮影していない。左に海を遠く臨みつつも、景色は単調だったことを思い出す
ドリンク+PowerGell
コースマップ右下の凡例を拡大表示。給水ポイントは1−2kmごとと多い
道中「Ultima!」と呼ばれ配られているスポーツドリンク。ぶどう味だった。国内のよくあるドリンクと比べると甘い。しかし摂るたびに慣れてきて、貴重な栄養源でもあり、難なく飲めて、おいしく感じるようになった ※個人の感想です
一応、国内Amazonでも取り扱いはあり、入手しようと思えば可能
http://www.ultimareplenisher.com/event/bmo-vancouver-marathon/
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味を選ぶという点ではこのPowerGell。この手のエネルギー源にはそれぞれ独特な甘みがある
上部の切り取り部分に"味"が書かれている(写真では"VANILLA" バニラ)もらう何回目かで気づいたけど、配ってくれるボランティアは「PowerGell, tangerine!」などとこの"味"を一緒に言ってくれる。
公式サイトによれば味は10種類(2015/5現在。)大会当日に全種類配っているかはよくわからなかった。タンジェリンはみかん系の味。vanillaや、コーヒー系のdouble latte。個人的にはこのdouble latteが甘すぎてダメだった ※個人の感想です
ありえる作戦としては:
- 最初に配られるときに無理やり複数もらって、自分の好みの味を知る
- 次以降の配られるポイントでは、その好きな味だけをもらうようにする
PowerGell=日本のPowerBar
ちなみに日本では「PowerBar」という商品名で扱われている。ドラッグストアや、マラソン大会会場のブースでよく売られている。ただしたとえば「梅味」は10種類のなかにはなく、地域ごとにラインナップを変えているようだ
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LEG 3(24km〜29km)
海を常に左に臨み、徐々に住宅地へと入っていく区間。しんどさはまああるのだけれど、木陰もちらほらあり気持ち良い区間だった
こういう景色が続く
木々の間を抜ける
湾内にはタンカーやたくさんのヨット
半島をほぼ抜け、住宅地へ
私設エイド。おそらく姉妹?で、冷たいレモネードを準備してくれていた。このタイミングでとてもありがたい、お礼の手紙を書きたくなるくらい
逆光気味だけど、右手にはテラス席メインの満席レストラン。ビールだ肉だがテーブルにはあるんだろうな、、と想像するだけで見ないようにして通過
29km。Burrard(バラード)橋を渡り、いよいよスタンレーパーク・ダウンタウン方面へ
LEG 4(29km〜42.2km)
最終区間。といっても13kmあり、あまり「あと何km」とは考えないようにしていた。実際、スタンレーパーク沿いのSea Wallは(本当の海沿いで気持ちよかったけれど)距離がそれなりにあり、引き続き、気力勝負であることに変わりなかった
Burrard(バラード)橋が見えてきた。朝、スタート地点に向かうバスでも通った橋
左手、歩道に加え、自転車専用道路がしっかりと分けて作られている。この造りは日本にはなかなか見られない
橋の前半、救急車が右を行く。マラソン大会に関係あったのだろうか
橋の中心部。立派な橋
なんとなく気に入っている1枚。実際は、橋前半の微妙な登りをけっこう歩いてしまった
楽しいウェアのお姉さん
橋を抜け、ダウンタウン南部に入る。高層ビルの高さで、市街地に入ってきたとわかる
HISバンクーバー支店のみなさん。まともに日焼けするポイントでどうもすみません
「旅ブロ」では、支店のみなさんが観光・レストラン情報をけっこう頻度高く更新している(しかも一般的なガイドブックにはない内容が多い気がする)現地旅行前にチェックしておくとよいサイトの一つ
ここまでで4時間過ぎ。まだ先は長い
バナナ。そういえば、きっちりしたフードを提供するエイドポイントはここだけだった気がする(あとは味を選ぶ必要のある、あのPowerGell)
給水は多いけれど、食べる方はあまり豊富ではない大会。気になる場合は自前できっちり準備した方がよさそう
一番印象に残った地点
景色の移り変わり、という点で一番印象に残っているのはこの地点。海の眺望がこの地点でぐっと広がる。涼しい海風を全身に受ける。海岸の人々はのどかに楽しそうだ。そういう印象が一気に訪れて、とにかく気持ちがよかった
広がる海(English Bay)、西向きのこの海岸はSunset Beachと呼ばれている。晴れていればおそらく美しい夕日が見られるのだろう
また満席のレストランが近所に。左手には海岸の公園。ここだけ見るととてもレース中とは思えず、とある日曜昼間の日常を「たまたま」ランニングしている雰囲気。またそれがよかったりする
木にかかるハンガー
‥とのんびり左右を眺めていると「32km」やっぱりここはコースで間違ってなかった笑
そしてここから先、しばらくこの景色が続いた。海に面した道路。右手は森
「ONE STEP AT A TIME」一歩ずつ
おじいさんたちの演奏
のどか。なんとなく、逗子海岸のイメージ
35km地点
海を左手に、右が岩場に
ようやく前方に、ゼッケンを受け取ったコンベンションセンターが見えてきた。ゴールはあのわりと近所だ
右手はいつしか緑豊かな遊歩道になっている。自転車の皆さんもたくさんいた
41km地点
そして冒頭にもあげた「1km TO GO」
スタンレーパーク外周を終え、ダウンタウン中心部へ
勝どきあたりにありそうな街路
この二又を左へ進むと、、
ようやく見えてきたゴール地点、、
ゴール!
ゴール地点では、DJがひたすらゲートを通過するランナーの名前を読み上げてくれていた
3−4時間台と比べるとゴールする人数も少ない。まあそれでも、タイムに関わらず、それぞれの距離を踏んできたという事実が、この「RUN | FINISH」の文字の存在感を重く大きくしてくれる
メダル。おお大きい。直径約8cm
裏側。自分で記入するようになっている
ゴール後はカメラマンが複数おり、メダルを片手に何枚も撮影してくれる。日本のオールスポーツのように、後日Webサイトで販売するパターン。70カナダドル(約7000円)で「データだけダウンロード」にした。メディアつきだと80ドルだけど、配送料がどの程度になるだろう(調べていない)
ポテトチップスとパン。あとは紙パック製のジュースを配ってくれていた。バナナもあったようだけれど、5時間台だったからか、もうなくなっていた
同じ時間帯にゴールした日本人の方と写真を撮り合ったりしてゴール後エリアでのんびり。日本の大会と異なり、完走証の発行、Tシャツ配布などの"順路"はないため、わりと自由にぼーっとできる
スタート時に預けた荷物は、ゴールゲートを過ぎて真っ直ぐ進んだところで受け取れる。「Gear Check」の文字を探して進む
ゴール後、一帯のエリアは参加者専用に青いフェンスで区切られている。荷物受け取りの前に間違ってその外に出ないように注意(僕はそうしてしまった。フェンス入り口にいた警察官へ言えばまた入れてくれる)
ゴールはダウンタウンのほぼ中心なので、ダウンタウン内のホテルであればたいてい徒歩10分弱で戻れる。すでに足はがくがく来ていたけれど、心地よい充実感の中、のんびりとホテルまで帰還したのでした