always one step forward

「第6回 プログラマのための数学勉強会」参加メモ #maths4pg

20160319

開催を重ねるごとに、発表者も参加者も増えている勉強会。タイトル通り、「数学」寄りで「プログラム」要素も入ったプレゼンテーション群を楽しめた。(「ブログまとめ枠」で参加)

概要より:

プログラミングと数学は、デバイスや開発環境の進化に伴い年々その距離を縮めつつあります。3Dゲームの開発にはベクトルや行列を使いますし、データ解析や画像処理なども線形代数解析学の知識は必須です。

(中略)ゲーム・バックエンド・アプリなどの領域でコードを書くプログラマ同士、それぞれどのように数学を使っているのかを語り合い、身近な話題を通して数学への理解と興味を深めていこうという思いでこの勉強会を開催することにしました。

ブログまとめ枠:

お持ちのブログ(Qiita も可)に勉強会のまとめを書いてくださる方のための優先枠です。発表内容を全て理解してレポート化するのは大変だと思いますので、簡単な要約と感想を書く程度でも大丈夫です。

この日のために話す内容と資料を準備された皆さまに深い敬意を表します。

overview

A bunch of math-oriented presentations

  • 「プログラミング要素も含みつつ、数学好きが思い思いの数学コンテンツを存分に語るプレゼンショー」という印象
  • dots.という会場の効果は大きそうだ。明るく広く、聴きやすく見やすく、きっと話しやすい
  • 数式をスライドに出す人はさすがに「数式は美しく書く」こだわりがあった
    • TeX数式を画像にするブラウザベース「TeXclip」がLTで紹介された。便利
  • LT含め、理解がついていかない内容もけっこうあり、それでも脳をはたらかせ、終盤はけっこうお腹が空いた。まあでも心地よい空腹感

レポート(2016/04/04追記)

  • 主催・佐野さんのレポート。講演中の動画もあり、雰囲気がよく伝わると思います
  • 他の「ブログまとめ枠」皆さんのブログ。視点が異なり、専門性も高く、勉強になりますm( )m

#maths4pg ツイートまとめ

  • 各講演中も手元で #maths4pg を追っている人はけっこういた(遠目から見える画面からの想像)

スケジュール

以下ページをどうぞ

  • 発表 30分 x 5
  • LT 10分 x 9
  • 以降の見出しには通し番号をかってにつけました
    • 参加時メモが中心、後日調べたサイト情報など追加しました
    • 自分の感想は「※」をつけました

参考:聴衆Aである私のレベル

  • 高くありません。高校数学まで。大学数学は早めに(とくに微積分のはじめのほうで)挫折した記憶が
  • つまり以降のメモには数学的に高度な内容を含みません
  • プログラミングは業務の1つながら、文字列処理が中心で(VB.NETPerlシェルスクリプトなど)、アルゴリズムの実装などはなく、最近のJavaScriptフレームワークなどはまったくの初心者
  • 以前の業務で最適化・統計分析を扱っていたので、その分野の話題が登場するとわくわくします(今回はあまりなし)
  • 数学もプログラミングも言語だと思ってます。そこが面白いと思ってこの会に参加しています

00 introduction

主催の佐野さん @taketo1024 のご挨拶:

  • 本業+家庭=自分の勉強時間はとりづらく、大学院受験し合格、2年間休職して通うことに
  • 受験については社内では明かせず、頼りになる"外部の"先生にホモロジーに関するコアな質問するなど
  • 「一人で苦しんでやるばかりが数学ではない!」
  • ‥こんなことを思うようになったのも、この勉強会があったから

20160319 dots.


01 心地よさと数字

発表資料

心地よさと数字 // Speaker Deck

データビジュアライゼーション

  • 数字の羅列より、それらを抽象化して理解しやすく
    • 行動が変わる、記憶に残る、誰かに話したくなる
  • 都道府県の間を移動する人の数を可視化
    • 東京→北海道、東京→青森、‥東京→沖縄の人数
    • フィッシュボーンのようにも見える曲線の集まり

  • 政府統計e-Statはよくできた統計データのサイトだが、数字の集まりである
    • その背景には人がいる、organicな情報である、ということを示したい

https://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/eStatTopPortal.do

  • ヨーグルト(コンビニにたくさん売っている)の成分比較
    • たんぱく質多め、炭水化物少なめ、をフィルタ表示で選好
    • 自分が食べたいヨーグルトを決める

※modeFRONTIERでいう「多次元解析チャート」(ページ下の方)に近い見た目

またはRの「Parallel Coordinate Chart」 https://www.safaribooksonline.com/blog/2014/03/31/mastering-parallel-coordinate-charts-r/

  • D3.js Random Value Viewer
    • 発生される4種類の乱数を円やチャートで可視化

http://structure-and-representation.com/works/randomViewer/

  • 横軸tに対する変化量yのグラフ
    • 線形、二次関数、オーバーシュート型
    • yの変化を色四角のアニメーション表示=これも可視化
    • 画面遷移の開発に活かすこともできる
      • アプリ一覧画面からのスワイプ、メニュー項目の選択

ヴィジュアライズ=ものの見方

  • 「北斗七星」日本はひしゃく、ギリシャはクマ、中国=雲上の王朝
  • ミニマルアート
    • ルール:自分で描くのでなく、描き方を文章で提示
    • 描画(実体化):それを展示スタッフが解釈し、スタッフが"創作"
    • 楽譜やレシピに近い
  • 磯崎新 モンローチェア(曲線状の背もたれ)
    • データ:モンローの身体曲線
    • 描画(実体化):椅子

天童木工 (家具の教科書シリーズ)

天童木工 (家具の教科書シリーズ)

  • 渋谷区の1ヶ月の天気と、自分の行動を1枚のマップにする
    • 人それぞれの結果になった
    • データをいかに目に見える形にするか?
    • ビジュアル変数、をとりいれたガイドライン化が必要

しゃぼん玉ひまわり

https://processing.org/

  • フィボナッチ数列を用いたドローイング
    • 3Dプリンタ、いろいろ作って試すと、ぎざぎざなくても、シャボン液の質が重要
    • シャボン液の安全基準 界面活性剤3%
    • シャボン液+市販洗剤でいいのができた
    • リトアニアのデザインカンファレンスに招待された

大事にしていること

  • 完成された(と思われている)ものを疑う
  • 自分にとっての心地よさを追求

http://yazaki.visualizing.jp/

感想

  • 序盤「データビジュアライゼーション」から終盤「インタラクティブデザイン」まで広範囲
  • タイトルからは「なぜ黄金比(の数字)を美しいと感じるのか?」のような内容を期待したけれど、これはこれでおもしろかった
  • "数字"よりは幾何学寄り?
  • D3.js「使いやすいJSフレームワーク」ががっちり活用されている例もあり
  • 何のための可視化なのか?がよくわからない箇所もあった
    • けれど「にやにやする」と言う表現がわりと率直かつ的確
    • 要は「可視化したいから可視化する」も目的にしていいのか、と考えると腑に落ちる

書籍

検索してみるといろい出ていた。いずれもおもしろそう

エンジニアのための データ可視化[実践]入門 ~D3.jsによるWebの可視化 (Software Design plus)

エンジニアのための データ可視化[実践]入門 ~D3.jsによるWebの可視化 (Software Design plus)

JavaScriptによるデータビジュアライゼーション入門

JavaScriptによるデータビジュアライゼーション入門

加えて、ワークショップや勉強会に参加、手を動かしてその場で結果を見る、が速習にはよいのかもしれない


02 数学がデジタルアートに! 高速なシェーダで可視化する数学の世界

発表資料

WebGLは「難しい技術」

  • WebGL
    • 数学の背景知識がないとさわれない? - そんなことはないです
    • 難しい技術? - はいそうです

  • GLSL
    • シェーダ言語のひとつ。OpenGL専用のシェーダ言語
  • オンラインGLSLエディタ GLSL Editor
    • URL にコードを全展開 goo.gl 短縮もできる
    • HTML単体で保存も可能
    • run のあとはEscで停止しましょう(しないとGPU動き続けるので注意)
  • フラグメントシェーダを記述できるGLSL言語のエディタ
    • シェーダはスクリーンの「すべての」ピクセルで実行されるのがポイント
    • スクリーンの全ピクセルを走査する、フラグメントシェーダのコードが記述できる

シェーダを描いてみましょう

  • オンラインエディタを使ってライブチュートリアル
    • 解像度、マウス座標
    • 2つの組み込み変数(gl_FragCoord, gl_FragColor)
    • 三角関数も組み入れてみました
    • 「πをコードで定義するならatan2あるよ!」 by @dankogai さん

気軽に使ってください

  • プロ仕様の映像やCGには、ブラウザベースのこの言語はさすがに向かないですが‥
  • 数学の勉強やアルゴリズムの可視化に、GLSL使ってみてください
  • URLにコードをすべて含む。goo.gl でシェアでき公開しやすい、使ってもらいやすい
  • WebGLスクール3期 参加者募集中

感想

  • 思わず聴き入る、声優なみのお声
  • シンプルなことを丁寧に話すスタイル。政治家の演説に求められる(気がする)
    • 例)「1+3=4です」
    • →「1がここにあります。そこへ、3というものを足してみますね。そうすると、はい、4になります」
  • どんどん使ってみてください、のわりには実応用例が少なかった
    • 探してみたら水族館が。おもしろい

http://webglsamples.org/aquarium/aquarium.html

from

書籍

たくさん出ていて(=歴史があるということ)、このあたりがおもしろそう

明解WebGL iOS/Androidも対応した3D CGプログラミングのWeb標準

明解WebGL iOS/Androidも対応した3D CGプログラミングのWeb標準

HTML5による物理シミュレーション 剛体編―物理エンジンの作り方〈1〉

HTML5による物理シミュレーション 剛体編―物理エンジンの作り方〈1〉


03 Wolfram Language コトハジメ 〜 Wolfram Alpha って聞いたことあります?

Wolfram Alpha

http://blog.stephenwolfram.com/2011/10/steve-jobs-a-few-memories/

At first it had been Omega (yes, like Alpha) and later PolyMath. Steve thought those were lousy names. (中略)But then one day he said to me: “You should call it Mathematica”.

  • Wolfram language
    • Mathematicaから離れた内容/分野にも使ってもらえるように、という思い
  • Wolfram Alpha
    • なにか単語を入力すると、関連する数値化されたデータを表示する
    • triangle in a circle など数学的な語を入力すると、それっぽい内容が表示される

  • 日本語対応はまだ。次は中国語対応すると言われている
  • ベータ版時代はいろいろ使えたが、現在は多くの機能が「Go Pro Now」有償Pro版だけ対応
  • 適当な数式を入力すると

Wolfram Language, Mathematica

  • Wolfram Language
  • Mathematica
    • IDEといえる
    • 「ノートブック」機能
      • 考えを記述し、途中に計算式を挿入できる。あくまで「思考履歴をまとめておく」もの
  • 数式処理、計算の流れ
    • MathematicaPython (w/ SciPy, sympy) と比較
    • 2次元/3次元で描画したグラフ。変数の値をスライダーで指定できる。インタラクティブ
    • 定数/変数の明示不要。定数に値入れなくても計算できる
      • Solve [y=ax+b] だけで、a,b を定数と扱ってくれる
      • PythonでもSymbolの定義は可能だが
    • Solve [方程式] で解けます
    • Dsolve [微分方程式] で解けます
    • Wolfram AlphaもDsolve使える。「微分方程式を無料で解ける!」
  • Wolfram Languageは、定義された関数がとても多い
    • だから短く書けるのだが、覚えるのが大変
    • →思考を妨げないよう、関数化できる部分を増やしている、という開発元の思想

株式会社ヒューリンクス 取扱製品紹介

  • ChemDraw 化学構造式
    • "2-propanol" "cAMP" はWolfram Alphaでも検索可能
    • いまは化学系の世界にいるので、よく名前は存じ上げております

http://www.hulinks.co.jp/software/chembio/index.html

  • Geometry Expressions
    • 描画した図形をもとに計算した数式をコピーして「Mathematicaに送る」機能がある

感想

  • 技術紹介もありつつ、Pythonとの比較とプログラム要素も盛り込まれ、納得の内容
  • Wolfram Alphaの開発思想がよくわかり、よかった
    • バックエンドではWolfram Languageが動いている
    • ということで、やはりLanguage拡充、Mathematica拡販の意図も強いのだろう
  • さかのぼれば2009年〜登場、昨今の自然言語処理/AI/ビッグなんとかの潮流を受けて開発もホットに?

  • 「遊ぼうと思えばかなり遊べます」が何度か登場
  • たしかにそう感じたけれど、何のために遊ぶのか?遊んでどんなことが実務的に嬉しいのか?もあるとよかった

講演者若林さん執筆の会社ブログをみると、カーリング女子チーム「ロコ・ソラーレ」スポンサーのようだ

2015/04/09のエントリより:

ヒューリンクスでは社会貢献活動の一環として、マイナーなスポーツの活動支援を行ってきました。2015年1月より、常呂カーリング倶楽部「ロコソラーレ」と3年間のスポンサーシップ契約を結びました。

構造活性相関、学会ポスター発表のお知らせ、に並んでカーリングの成績が。おもしろいつながり

書籍など

Wolfram|Alpha

Wolfram|Alpha

  • Stephenさんの著作(Kindle版)
    • Elementary Introductionとあるので絶対に入門者向け。時間があればこういう内容も読んでみたいところ

An Elementary Introduction to the Wolfram Language (English Edition)

An Elementary Introduction to the Wolfram Language (English Edition)


04 暗号文のままで計算しよう - 準同型暗号入門

発表資料

準同型暗号 homomorphic encryption

  • クライアントがデータを暗号化すると、クラウドは単なるデータ置き場になる
    • 検索も計算もなにもできない
    • これを暗号化したまま処理したいというニーズがある
  • 準同型暗号があると集計できる
    • NICT、日立、富士通などが研究している先端分野

楕円ElGamalを用いた加法準同型暗号

  • 暗号化したまま集計する、楕円ElGamalを用いた加法準同型暗号のデモ
    • クライアントで1,2,5,10をそれぞれ暗号化
    • サーバに送り、それぞれを足す、それをクライアントへ戻す
    • クライアントで復号すると和がもとまる18が得られる
  • 楕円曲線
    • 実は楕円でも曲線でもない、、
    • 複素数的な意味での1次元、実数としては2次元
    • 「このトーラスはかえでマークのソフト(Maple)で描きました」

http://www.cybernet.co.jp/maple/product/

  • トーラスをある断面で切り、円筒形に伸ばし、長方形に広げる
    • 楕円曲線上の足し算、引き算
      • 長方形上のベクトルの和や差、はみだすと反対側に出てくる
    • 楕円曲線上の倍数
      • Pを何倍にしても、長方形の中でどの点かは確定する
  • 楕円離散対数問題が困難
    • PからnPはもとまるが、「nPである点が得られた時、nを求める」のは難しい
    • この困難さを暗号に応用

(残りの)加法準同型暗号

  • 暗号文を足してみる
  • 実装むずかしいけれどがんばりました

(難解でメモの手が止まりました、、スライドpp.23-27をどうぞ

以降のメモも、incorrect or ambiguousな可能性があります)

完全準同型暗号 fully HE = FHE

  • 準同型は数学用語
  • 完全とは?暗号用語(数学用語ではない)
  • 足し算はxor、掛け算はand
    • 足し算だけ、掛け算だけができる暗号は2000年までに構成完了
    • 足し算も掛け算もできる暗号
  • 行列A・x = ベクトルb・y は簡単にもとまる
  • 行列A・x + ノイズe = ベクトルb・y となると難しい
    • 秘密鍵を持っていれば(eを除去して)復号できるが‥
  • 暗号の復号は、このノイズe入りの問題といえる

  • 乗法もなりたつ。乗法準同型

    • 乗法準同型であれば加法準同型=完全準同型
    • ノイズがあるので掛け算が繰り返されるとしんどい(復号できないことがある)
    • somewhat HE=SHE
      • SHEでも役立つことが多い
  • ブートストラップ
    • SHEをつかってノイズをなくす
    • 重い処理なので平文1bitが暗号文1GBになったりする

Q&A

  • 平文の世界と、暗号文の世界が環になっている?
  • 鍵長は?
    • そんなに長くない。せいぜい数KB

感想

  • 難解な内容を平易に話されるスタイル
  • しかし難解なので結局理解できない。。次の圏論とあわせ、ほぼ消化できなかった
  • 等高線が少なめの山の地形図で「だいたいこの山の特徴はこうです」と説明を受け納得
    • 実際の山岳路を進みはじめるとかなり険しい、、という印象

復習:以下の丁寧な記事を(1)から読んでおきたい

書籍

そして「実際の山岳路」は、スライド序盤で紹介のあったこの項目たち:

http://herumi.github.io/ango/

クラウドを支えるこれからの暗号技術

クラウドを支えるこれからの暗号技術


05 圏論Haskellは仲良し

これまで存じ上げずだったけれど、法政大学教授をこの3月でご退官される大森健児先生。

大学での最終講義も終えた後、この別の場所で、ふだんとは異なる聴衆に圏論入門を語る。どんな気分だっただろう。意外と新鮮なお気持ちだったのかもしれない

自己紹介

ご業績いろいろ

This paper clarifies the dynamic relationship changes of politicians using category theory.

圏論を用い、政治家間の動的な関係変化をを示した」おもしろそう

圏論 category theory

  • 数学の中でもっとも抽象的なのが圏論
  • それぞれの分野を圏とし、それらに共通するものを扱う
    • 圏とは、以下を持つ
      • 対象、射(関数)、ソース・ターゲット、恒等射、合成(結合律)
    • 集合と写像の圏
    • グラフの圏 など
  • 関手 functor
    • 圏どうしの対象と射の間を対応付ける。2つの関数の組
  • 米田の補題
  • 随伴関手
    • 中学生の職場体験。圏B 赤ん坊の世界の雑音 ←→ 圏A 中学生の世界の会話

Haskell

関数型リアクティブプログラミング

感想

  • すみません難解度No.1でした
  • 先生の語り口は丁寧でロジカルで明快、講義を受ける学生そのものになって聴いていたものの‥
    • 日本語は明快なのに、その内容が難解でよくわからない、という変な錯覚だった
  • ただしタイトル「圏論Haskellは仲良し」の通り、圏論を扱うなら言語はHaskell、と

https://ja.wikipedia.org/wiki/Haskell

  • 1スライドを小さく4-5エリアに分け、複数スライドのようにみなして説明するスタイルはちょっと斬新
    • 短期記憶さえ使わずに、ポイントを追いつつ理解を進められる

先生のブログ「Haskellで学ぶ圏論・入門編」カテゴリ。古い順に読んでおきたい

授業のシラバスHaskellチュートリアル。学生に戻ってこの授業をとることを想像してみた

サイバーワールド応用論|授業コード:TZ053|法政大学シラバス

別の方のブログ

書籍など

敬意を表して先生の著作を

現代 計算機アーキテクチャ

現代 計算機アーキテクチャ

EWS入門

EWS入門


次はLTのみなさん。各10分とはいえ内容は濃く、やはりついていけないものもあり。。発表資料(のツイート)へのリンクをおきましたので適宜どうぞ


LT01 √2をつくる

発表資料

  • a * a = 2 // false
  • 「時計の世界の整数論」by @tsujimotter

  • n次式
    • 合同 f(x) ≡ g(x)
    • m(x) = x2 -2
    • x2 ≡ 2 (mod m(x))
      • m(x) を法とした世界ではこれが √2
    • Swift で記述できた
    • 原始7乗根も求められた
    • √-7 も計算できた
  • Swift代数学入門

LT02 実践Scalaペアノの公理

発表資料

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9A%E3%82%A2%E3%83%8E%E3%81%AE%E5%85%AC%E7%90%86

自然数は次の5条件を満たす。

自然数 0 が存在する。

任意の自然数 a にはその後者 (successor)、suc(a) が存在する(suc(a) は a + 1 の "意味")。

0 はいかなる自然数の後者でもない(0 より前の自然数は存在しない)。

異なる自然数は異なる後者を持つ:a ≠ b のとき suc(a) ≠ suc(b) となる。

0 がある性質を満たし、a がある性質を満たせばその後者 suc(a) もその性質を満たすとき、すべての自然数はその性質を満たす。

  • Scaraの型推論がすぐれている。型を(あまり)意識しなくても書ける

LT03 せいほうけい育成日記

発表資料

  • むかし数学研究部でやっていた遊びを実装した
    • 「なかまをよぶ」正方形の周りに正方形をかく
    • 「成長させる」内側におく
  • PATHで(SVGで)描いた
  • どう実装?
    • 内側:円をn分割して正n角形
    • 外側:難敵だった
  • 図形は楽しい、子育ては楽しい
  • SVG描画はIE得意
  • スクランナー gulp
  • 数式画像作成 TeXclip

LT04 packing にまつわるアレコレ

発表資料

  • circle packing
  • 曲面のパラメータ表示とRicci flow
  • 目的:MRI画像が同じものか判定したい(回転やscale変換)共形的に同じか
  • マスクの画像、2つが同じか
    • LSCMは穴を埋める必要がある
  • Yamabe Equationを解く
  • 離散化
    • 曲面が3角形分割という仮定
  • 3-hole diskへ"射影"する
    • 同じ画像か見比べやすくする

LT05 Introducing PONS

発表内容(の元)

すべての型別実装を、生まれる前に消し去りたい

swift-pons - Protocol-Oriented Number System in Pure Swift

  • 「異なった型ごとに、違う実装が必要」??
  • 1つ関数をかくと、異なる型に恩恵を与えられる
  • sqrt(2) もほらこの通り

Perlに触れているものとして、レジェンドの生講演を聴けてよかったです

LT06 すべての図形を分類した男

  • ルネ・トム(フランス数学者)
  • 微分可能多様体とは
    • 毛の生えた多面体は次元わからない
  • 境界:それ以上進めない
  • コンパクト:有限であること
  • 向き付けられる:表裏、内外があること

幾何の問題を代数的に整理

  • 「三角形」の集合
    • →「相似」を組み合わせ「和が180になる自然数の組」の小さな集合に
  • 多様体」の集合
    • コボルディズム環」を組み合わせ「分類した多様体」の小さな集合に
  • 環なので演算がある
    • 足し算
    • 掛け算 直積をとる
    • 複素射影空間

LT07 かんたんベジェ曲線

  • ベジェ曲線
  • 具体的な数式は?
    • 3次のベジェ曲線の媒介変数表示
      • 各成分の関数は、(3次なら)3次多項式
    • 始点(0,0)と終点(1,1)を固定(アフィン変形性ありなのでよい)
  • 工学応用
    • 2次元は古いFlashPlayer
    • 3次元が一番よい
    • 4次元以上も研究あるけどあんまり

※なぜだろう?2次元平面に書くから+1次元がよいということ?

  • 陽関数にできないか?できた

LT08 ベータ分布の謎に迫る

発表資料

  • どんな事象がこの分布を持つ?
  • 0<x<10<p<1 にしてみた
  • p^(α-1)(1-p)^(β-1) のかたち
    • パラメータα、βをいろいろ変えてプロット→最初の発表「心地よさと数字」と近い
    • ベルヌーイ分布(コイン投げ)と同じ形
  • 順序統計量の定義にベータ分布の形が!
  • jupiter - Python オンライン実行

LT09 始代数とCatamorphism

発表資料

  • fold(重畳)
  • 始代数とは
    • (だいたい) List a = Nil | Cons a List のことです
  • CATAMORPHISMとは
    • (だいたい) foldのことです

https://ja.wikipedia.org/wiki/Catamorphism

  • 圏が(今日のなかで)再登場
  • 論文 "Functional Programming with Bananas, Lenses, Envelopes and Barbed Wire"

http://eprints.eemcs.utwente.nl/7281/01/db-utwente-40501F46.pdf

  • 何のことかと思ったら、それぞれで使うかっこの形をbananaなどと表現していたのだった(たしかにそう見える形)
  • 実物はPDFファイル中の式番号でどうぞ
    • Markdown、はてなTeX記法、TeXClipでも表現できず
    • 以下から探せば見つかるのかもしれない

http://ftp.jaist.ac.jp/pub/CTAN/info/symbols/comprehensive/symbols-a4.pdf

banana

  • \llparenthesis, \rrparenthesis
  • PDF 2ページ
    • so called banana brackets: の次行にある 式(2)
% banana
% with package 'stmaryrd'
\begin{equation}
  \\llparenthesis 1 \\rrparenthesis
\end{equation}

lense

  • ? 【 】の白抜き版
  • PDF 4ページ
    • by wrapping the relevant ingredients between concave lenses: の次行にある 式(4)

envelope

  • \llbracket, \rrbracket
  • PDF 6ページ
    • by wrapping the relevant parts into envelopes. の次行にある式(6)
% banana
% with package 'txfont', 'stmaryrd' etc.
\begin{equation}
  \llbracket 1 \rrbracket
\end{equation}

TeXClipでいけた TeXclip

barbed Wire

  • ? [と〈が重なったような
  • PDF 6ページ
    • by wrapping the relevant constituents in barbed wire の次の式

おまけ

得たこと

  • 話者の指示語が多くなってくると、聴衆としては要注意
    • 「これが」「こうなります」「この〜」
    • 話者が聴衆を気にしなくなり始めたサインとも言える
  • スライドを示しながら「この〜」はつい言ってしまいがち
    • しかし頻度が多いと聴衆はついていけない(と今回再認識)
  • 上手な人は、スライド内容に即した内容を、指示語なしで説明していた
  • (特に高度な)内容咀嚼においては、スライドも重視しつつ、オーラルな情報も重要視していることが自分でもよくわかった

また「ブログまとめ枠」で参加したい?

  • やってみたいです。ただし、以下のような担当分けが出来れば:
    • 30分講演担当:1-2名
    • 10分LT担当:1-2名(密度濃いので分担)
  • 1-2日前に連絡取り合って分担決めるなど
  • 当日参加できなくなった場合にそなえ5-6名の枠があるとよさそう
  • 他の勉強会に比べLTの密度(内容)は明らかに濃い