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IT寄りの日常・IT以外の日常。ランニング。美術展や展示会感想。長文でもなるべく読みやすく構成する練習を兼ねています

2013/09/16 アンドレアス・グルスキー展 @ 新国立美術館

行こう行こうと思いながらそのまま逃すところだった。東京での開催最終日にタイミングよく観に行けた。

カミオカンデピョンヤンツールドフランス、F1ピットストップ、などなど、これでもかという大判写真に圧倒された。いくつかは公式サイトの作品ハイライトにも上がっていて雰囲気がつかめる。

といってもそのサイズだけではなく、徹底したデジタル加工による繊細さも見せてくれていた。大判で、かつ精細さもあるとなると、表現量/面積で得られる"密度感"はかなりのもの。これは、公式サイトや山手線ホームの広告で見るカミオカンデのワンショットからはあまりイメージできず、作品実物を前にしないと得られない新鮮な驚きだった。作品写真は1枚もないですが以下感じたことを。

台風の日だからかまあまあ空いていた

  • ちょうど台風18号関東通過の日、昼前には雨も止み傘は不要になったものの、横殴りの風はまだびゅうびゅうと残り、いつも穏やかな木々は乱れ、看板は斜めになり、外は歩く人もまばら
    • 「台風が通過してもすぐに風がやむわけではありませんので油断せず‥」いつかどこかで聞いた言葉を初めて理解した
  • 「美術展の最終日はたいてい大混雑だけれど、こんな日だから空いているのでは?」同じように考えた人が少なくなく、12時過ぎの到着だったけれどそれなりに人はいた
  • 1作品あたり、その前で鑑賞する人が0〜2人、スーパーカミオカンデなど目玉作品でだいたい5人程度。特設サイトの作り込み感、あるいはPRぶりを考えれば、最終日ならおそらくこの2-3倍はいたはずで、やっぱりまあ、空いていたほうだと思う
  • この"1作品の前に同時に集まる最大人数"は、自分の中で、美術展の混雑度の目安として何となく使えている。Pmax[人/作品] とかで表現したいくらい
    • こないだまで開催していた横浜のプーシキン展で Pmax=5〜7
    • 8月末に行った高松の丹下健三生誕100年展で Pmax=0〜1
    • Pmax=3:まあまあ混んでいた
    • Pmax=5以上:えらい混んでいた、という感じ

感じたこと

  • 最初に挙げたカミオカンデ(2007)、ピョンヤンシリーズ(2007)、ツール・ド・フランス(2007)、F1ピットストップ(2007)がよかった。99セント(1999)もよかった
  • そもそもとして、こんな広角の視野で撮りたくなるようなレアポイントをよく見つけるなという点。それがプロってもんですよということだろうけども

  • 順路で最初に現れるガスレンジ(1980)も青+白+構図が印象的

  • 2007〜2008年作品が多く、カタール(2012)まで番号でいうと65点

    • もらうプログラムには番号がついているけれど、展示はこの番号順(時系列)でなく、本人の意向であえてバラバラになっている。これは新鮮。作品のたびに「これはいつの作品だろう」を常に確認
  • かのスーパーカミオカンデの内部は、通常は水で満たされている。音声ガイドによると、定期検査のために水が抜かれた、そのタイミングを待って撮影したとのこと。作品右下にはボートに乗った作業員が小さく写っている。相当ウォッチしていたのだろうな

    • もしや見学OK?と「よくある質問」ページを見ると「私はどうしても一度スーパーカミオカンデを見学したいのですが…」の質問がある(原則見学できません)やっぱりそういう問い合わせが多いのだろう。この写真展開催でさらに増えているかもしれない

バンコク」シリーズのアクセント

  • 展示全体を流れとしてみると、かなり印象に残してくれたのは「バンコク」(2011)と名付けられた一連の作品。別サイトに一部掲載されている
    • 暗い川の水面を真上から接写して、ぱっと見ると抽象的な流線のデザイン画に見える
    • 説明プログラムや音声ガイドによると、ゴミの浮かぶ暗黒色の川に現実を投影したもの
  • 写真展の順路中、この「バンコク」シリーズが計6枚、他作品の合間をぬって定期的に目の前に現れる。他の作品で美しさやスケールに慣れつつ、忘れた頃に「はい現実はこれです」と挟み込むような構成になっていた。展示順が時系列でないからこそ活きたアクセントという感じ

デジタル処理の賜物

  • デジタル加工の細密さは、たとえば「南極」(2010)に見て取れる。衛星写真で南極をとらえた(アングルはこの写真が近い)
    • ぱっと見は、青い海+白い雪原の美しさです、どうぞご覧ください、という感じなのだけれど、寄って大陸端を見つめてみると、その距離からは映るとは到底思えない雪煙がふわっと表現されている。音声ガイドはここで「緻密なデジタル加工を施し‥」と伝えてくれて、処理後の作品とみると俄然見方が変わってくる
  • 他の作品、たとえば「F1ピットストップ」でも「人ごとに明暗の具合を画像処理した‥」というエピソードを音声ガイドで知られる

音声ガイド

  • プラス500円。石丸幹二さん。文中に何回か書いた通り、プログラムの紙には書かれていない作品のエピソード、鑑賞ポイントを教えてくれる
  • どの作品にガイドがついているかのリスト
    • 来年2月の大阪開催でもおそらく内容は変わらず
    • 有料のガイドですがこの一覧くらいは掲載いいですよね、ということで
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  • 88番のBGMはグルスキー本人選曲のこれ↓