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電子ジャーナル最前線:覚え書き

こないだ会社で聴いた講演、まあいろいろためになったのだけれど、その中の「電子ジャーナルと電子"化"ジャーナルは異なる」という言葉、目からうろこというか、いまだに妙に頭に残っている。そういえばそうかもしれないと。仕事と直接は関係ないけれど、広くウォッチしておく必要はありそうなので、感じたことの簡単な覚え書きを(講演内容のメモではありません)

タイトルはけっこう適当で、ジャーナルという単語が適しているかも、公開文献、といってもいいし、広い意味での情報、ということになると思う。この世界の全体像をまだちょっとつかみきれていないけれど、オープン化、共有、検索しやすさ、がキーワードなのは確実。

「電子ジャーナルと電子"化"ジャーナルは異なる」

  • 電子"化"ジャーナル:簡単にイメージするなら、たとえば「論文をPDF化し、OCRをかけてサーバにおいただけ」の状態
    • 蓄積件数は多く、一括検索もできるが‥それ以降の利活用に役立つか、となると大きく?がつく
    • 現状いろいろなデータベースが公開されているが、学会誌によっては上記のような状態でとまっている "電子化" もけっこう多い
  • 電子ジャーナル:上記に加え、知識情報として活用するための加工が充分に行われたもの
    • 書誌情報をインデックス化していろんな切り口で検索しやすくしたり(googleがWebページのMETAタグの内容を集積するイメージに近い)
    • 著者自身がアブストラクトを紹介する動画や、医学文献であれば実験結果の動画、化学文献であれば3Dの化学構造式をその文献に付帯したり

もちろんその後追いで、翻訳、多言語化のニーズもついてまわる。今のところ(そしておそらく当面は、)"世界の基軸言語" である英語で蓄積していきましょうという流れだろう。以下に挙げたサイトも、英語圏がベースであったからこそ、立ち上がりと発展が速いのだろう(と思う)

量も質も大切

  • 「私の論文を載せたいのですが、どんなフォーマットで、どんな情報を集めればいいのでしょうか」という率直な意見が予想される
    • このフォーマットは今後、どんな風に落ち着くのか。人間はわからなくても、機械(コンピュータ)がわかる言語として、5-10年前はSGML、それ以降はXMLがほぼ一般化し、ここ最近はJSONも出てきている。ということは数年後も変わっている可能性もある
  • 「量も大事だけれど、質を揃えないといけません」
    • がんばって蓄積した文献情報も、そのプラットフォームのマイナー化によって陽の目をみなくなるようでは、一生懸命集める意味がない
    • どのプラットフォームに落ち着くのか、静観、様子見せざるを得ないという状況がしばらく続きそうだ
    • この点は、単純なビッグデータ化の流れとも少し方向が違う気がする

動き始めている(最前線の)Webサイト

  • www.articleofthefuture.com by Elsevier社
    • URLの通り、未来の article としてあるべき形を提示するサイト。分野ごとにいろんな事例があっておもしろい
    • ジャーナル取り扱い、という点では老舗とも大御所ともいってよく、いろんなサービスの提供実績あり
    • history のページ には:

      Now, through the Article of the Future project, Elsevier is redefining the article and associated article page on SciVerse ScienceDirect to allow for an optimal exchange of formal scientific research between scientists.

    • エルゼビアの本社はオランダだったのか。勝手にイギリスと思っていた
  • MENDELEY by Mendeley社
    • ソフトウェア。iTunesのようなプラットフォームで文献管理。iPadなど各種プラットフォーム向けにアプリ公開
  • altmetrics
    • 集積・公開された文献がどれくらい評価されたかに、SNS等での話題性を加えて行こうという試み。資本は?ユーザー数は?ちょっとまだ掴めていない

      altmetrics is the creation and study of new metrics based on the Social Web for analyzing, and informing scholarship.