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ゴールデンスランバー

観たいと思ってそのままになっていたうちの1つをDVDで観た。観終わったとき、平野啓一郎さんが「小説の読み方~感想が語れる着眼点~ (PHP新書)」で指摘していた、「作品の中ほどを軸にした線対称の構成」というのをはっと思い出した。映像化してもそれがうまく引き継がれていたなと感じた。


最初の謎が急にあらわれて、引っぱられたまま、逃げる逃げるというのが前半で、後半は、「最大の武器は信頼」、昔の仲間と過ごした何でもない時間が、実は一番いい思い出、という、共感できるメッセージをたくさん見せてくれた気がする。冒頭でいきなり発砲してきた警察が、最後にはなかなか発砲しなかった、という差が印象的。結局「本人確認」ができていなかった、ということなのか。麻酔銃とわざわざ公表していたのも怪しい。…いろいろ想像(詮索)の余地を残してくれるのが、この人の作品らしいなと感じた。


キルオの濱田岳さんが、なんというか、この世界にはまりすぎていてよかった。「あーもうびっくりした」の台詞がしばらく頭を離れない。ところどころ、映像化して削ぎ落とされた伏線や描写があるのだろうけれど、それはこれから原作を読んで楽しみたいと思う。


ゴールデンスランバー [DVD]

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