2017/9/15 数学セミナー「数学×芸術~究極の美を探し求めて~」参加メモ
(※写真はイメージです)
月例、敷居の低く参加しやすい数学セミナー「数学x〇〇」で、数学者・秋山仁先生の講演を初めて聴いた。
数学者であることはもちろん知っていたけれど、どんなご専門だったか?まではよく知らず。この講演全体を通して、
などをわかりやすく知ることができた。
以下講演メモを:
講演メモ
※以下のトピックは講演での登場順とやや変更しています。リンク先は後で調べて追加したものが多いです
デューラー「メランコリア I」
- 左中央に描かれた多面体は「切頂八面体」
- 秋山先生はこの多面体、右の女性、魔法陣、底部の道具、左上の太陽に言及されていた
- 作者: デューラー
- 出版社/メーカー: 楽しく読む名作出版会
- 発売日: 2015/11/28
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- 作者: デューラー,前川誠郎
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いろいろな人が、さまざまな解釈をしている。魔法陣、黄金比、34という数字‥
絵画は、作者本人の説明があっても楽しめるけれど、作者本人が解説を加えないほうが、結果的には愛される作品になる気がする。ある種の秘密性を帯び、多様な解釈を生むので
葛飾北斎「富嶽三十六景 神奈川沖浪裏」
- 絵の中で小さい富士山。"富嶽"で主役なのに。しかし自然と富士山に目が行く
- 長方形の対角線と、縦辺を半径とする円弧。これらの交点が富士山頂
- 小さいもの(富士山)を目立たせるため、意図して数学的な手法を取り入れているのがわかる
- …文章よりも、ご本人による以下文章の図2をどうぞ。
日本数学会「美の背後に潜む数理」PDFファイル
http://mathsoc.jp/publication/tushin/1702/1702akiyama.pdf
http://www.hokusai-kan.com/yatai/kanmachi_yatai05.html
これもおもしろい。そういわれれば確かにフラクタル、自己相似の考え方で波を表現している
アルハンブラ宮殿
- 偶像崇拝が禁じられたイスラム教の宮殿は、モスクや宮殿内部のパネルで優美さを表していた
- アルハンブラ宮殿内には、「繰り返しパターン(2次元対照群)」17種類がすべて存在する
- 17種類だけ存在することは群論で確立、19世紀に証明されたが、アルハンブラ宮殿ができたのはその証明のずっと前
- 造った時代の人々はこのこと(17種類)を暗黙のうちに知っていた?
ヒルベルトの第3問題
- 1900年の国際数学者会議(パリ)で全23題を出題
「等底・等高の四面体の等積性は、連続変形なしで証明できるか」
- 作者: D.フックス,S.タバチニコフ,蟹江幸博
- 出版社/メーカー: 岩波書店
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演習
- 四面体を、その4つの頂点を通るように切り開くと、ジグソーパズルのように合わさる
- 横型の封筒に封をしてのりづけ。閉じた封筒を「二面体」とみる(これがおもしろい)
- 二面体の片面に、四隅を通るような線を書き込む
- 書き込んだ線に沿って切り開く
- 切り開いた図形をばらばらにしても、必ず(ジグソーパズルのように)組み合わさる
…文章ではおよそ伝わらない(笑)「美の背後に潜む数理」4-6ページをどうぞ
"形の素" を調べたい、知りたい
いわゆる研究のモチベーション。ご自身が何に興味を持ったのか?
「素数が"数の素"であるのと同じく、立体を構成する最小要素、"形の素"を調べたい」
→ 平行多面体を構成する最小単位「ペンタドロン」の発見、登録商標取得へとつながった、というお話
パズルPentadron(ペンタドロン)平行多面体の元素秋山仁先生
- 出版社/メーカー: イメージミッション木鏡社
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「社会人のための、数学×○○シリーズ」
この無料講演は、西武プロパティーズ+中島さち子さんによる、2017年4月からの月例企画。中島さんとゲストが月ごと交互に講演を担当。少なくとも今年度(2018年3月)までは続けるそうだ。
これまで「数学x音楽」「数学x暗号」「数学x対称性」など、文字通り、数学に何かを掛け合わせたトピック。
「難解な内容でも平易に話す」ことが講演者ごとにしっかり伝えられており、難しいと感じたことはない。「数学が専門ではないけれど、そういう分野の話を聴いて気軽に頭の体操をしてみたい」という層(はい僕です)にとってはよい機会。
素朴な疑問(と予想回答)
そもそもなぜこのような会を持つのだろう?
- 平日19-21時という時間帯、西武プロパティーズさんの社員も複数アテンド
- きれいで広いセミナールーム(おそらくそれなりに高価な利用料金)を使用
- 終了後は軽食を提供。参加者負担なし
というように、主催側の持ち出し部分が多い。
人材発掘かと思ったらそんな雰囲気もない。参加者同士の交流はあるだろうけれど、そのようなネットワーキング自体が目的、という雰囲気にはみえない
もしかしたら、この「東京ガーデンテラス紀尾井町」の知名度向上、が大きな目的かもしれない。Web配信もなく、参加者は確実に現地へ足を運ぶので。
上記はともかく、都合がつけばまた参加します。