always one step forward

2012/6/8(金) 山中千尋トリオ@神奈川県民ホール

楽しめた。この金額で聴く価値あったなと。たまたま前が空席だったので、前のめり集中体勢で聴けてよかった。聴きだしてから「狂気の女神が舞い降りた」「憑依の早弾き」(それぞれいい意味で)とかいろんな言葉を勝手に探していたけれど、後半からはそういう言葉探しも忘れて聴き入った2時間超だった。アンコール2曲、2曲目は八木節。


http://news.kanaloco.jp/localnews/article/1206020013/
http://www.martina-franca.com/%E5%B1%B1%E4%B8%AD-%E5%8D%83%E5%B0%8B/


聴き入ってセットリストもメモし忘れたけれど、休憩前に3曲+後に2(3?)曲(5月発売のアルバムからを含む)、7月発売の新アルバムから3曲、アンコール2曲、とけっこうどっさりやってくれた気がする。トリオの2名とは、何というか、曲ごとに異様にタイミングが合っていた。(プロの演奏はこれが当たり前なのかもしれない、けれど相手やリハーサル時間のかけ方でこの合い方はきっと変わるはず)


1カ所、Yesterday のドラムスの入り方で山中さん→岡田佳大さんへ "修正" が入って、演奏の最初をやり直すシーンがあった。ジャズではよくあるのかもしれないけれど、ライブでこういうやりとりを観られるのはけっこう貴重だなと思った。CDにサインいただいたときにご本人へ聞いたら、「決まったリフと違ってしまったので…アルバム聴いてもらったら違いがわかるかと、買わないとばちが当たる…」と買う方向に(はい買います)


速い指の動き。「仮に映像に撮って16倍速とかで再生したとしても、それよりも速いんじゃないか」と思えるくらい。誰だったかは忘れたけれど、広島のセカンド正田の絶頂期、4-6-3のダブルプレー狙いでショートへトスするとき、あまりのスムーズさに「ボールを "捕る前に投げている"」と表現した人が確かいた。たしかに指が動いていて、小細工もなく鍵盤が鳴っているのだけれど、それに近いありえない表現が思いつくくらいの動きだった。


「私がこれまでもっとも作曲の影響を受けたといってもいい、ビートルズへのトリビュートアルバムをついに7月に発売できます」とその中から数曲。あのスタンダードな曲調を意識させておいて、のっけから(たぶん誰も予想していなかった形の)異質なアレンジを加えてくれる。ああこれは相当思い入れと気合いが入った編曲作業だったんだろうなあ、というのが伝わってくる。日産ギャラリーのときに感じたのと同じく、やっぱりプラスの意味で裏切ってくれる人だと思った。