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always one step forward

IT寄りの日常・IT以外の日常。ランニング。美術展や展示会感想。長文でもなるべく読みやすく構成する練習を兼ねています

「9次元からきた男」試写会 - 万物の理論 ToE の探索、迫力の3Dドーム映像で可視化

daily

https://pbs.twimg.com/media/Ceelq9FWwAA1QQU.jpg

2016/04/20公開予定、約30分の映像作品。事前試写会に参加した。理論面でがっちり監修に携わった大栗博司先生のレクチャーも鑑賞前に聴けて、有益な時間だった。

記憶がフレッシュなうちに、と参加後に連続ツイート:

感想としてはこれがすべてという気もするけど、レクチャー時のメモも残してあったので以下はそれを中心に(これから観たい人向けの情報を末尾に入れました):

はじめに

日本科学未来館 科学コミュニケーター Dimitriosさんの説明。

そして、

  • 万物の理論とは何なのか
  • 何がどこまでわかっていて、わかっていないのか

という点をわかりやすく可視化しよう、というのがこの映像制作の目的

万物の理論 - Wikipedia

科学コミュニケーター

以下のコンテンツは今回初めて存在を知った。 教科書以外で科学を知りたい子供向けの内容が多いのか、と思ったら、文章の長さやイベント内容からみると、大人向けもけっこうあるようだ

科学コミュニケーターブログ | 対話で科学を伝えている科学コミュニケーターによる日記です

https://www.facebook.com/miraikan.jp

3.11以前も以後も、(大きな母集団としてみた)日本人の間では、「科学はとっつきにくい」の風潮はあまり変わっていない気がする。上記は、いわゆる「サイエンスコミュニケーション」の文脈で、もっと取り上げられてもよいコンテンツだと思う

大栗博司先生のレクチャー

お話を数分聴けば「難しいことを x 易しく話す」ができる方ということがわかる。安心して"耳を委ねる"ことができる

この作品は何を目的としたか?

  • 映像による、理論やデータの可視化を目指した(数字、数式だけではよくわからない)
  • イラストリス:可視化プロジェクト
    • 画像や映像、いろいろな"作品"がみられる。作品といっても抽象的なインスタレーションではなく、理論/実験に基づくデータの可視化、というのが特徴

レクチャーメモ(かなり抜粋版)

宇宙は138億年前には、高温・高密度の状態だった。そこから膨張した

  • 膨張したと言える3つの証拠
    1. 1929年 ハッブルがウィルソン山で膨張を発見
    2. 3分後、観測された電子や中性子の比率が12:1、理論と一致
    3. 宇宙の晴れ上がり(原子の光、始まり)
  • ヒッグス粒子の中を光が通ると、スピードが遅くなる
  • ビッグバン以前
  • 超弦理論(仮説)
    • 統一理論
      • 強い力・弱い力(素粒子の世界。ミクロ)
      • 重力(宇宙の世界。マクロ)
    • 余剰次元は6つ。カラビ・ヤウ空間
  • 素粒子物理学の世界では、数学の力がとても大きく、大切。数学と理論が両輪

数学の言葉で世界を見たら 父から娘に贈る数学

数学の言葉で世界を見たら 父から娘に贈る数学

Q&A

なぜ「9」次元なのか?

  • 余剰次元が6つ」と決めると、いくつかのことが矛盾なく説明できるため
  • なぜ6なのか?カラビ・ヤウ空間の幾何学的性質から
  • 個人的にかなり知りたかった点。他の方の質問で回答が得られて助かった

質問者からは「"9"は素粒子の"17"種類と何か関係が?」とあり、なるほどと思った。

すくなくとも現時点の理論/実験結果から合理的に言えるのは17で、たとえば5年後に「実は理論上25でした」「いや4に収斂しました」という可能性もあるのだろうなと思った

ひもは結局何を表しているのか?

  • 物質の基本単位
  • 映像では「エネルギー振動のようす」とあった。素粒子によって振動のパターンが異なる。このパターンを紐で示していた

「ひも」が何を表しているのか、を咀嚼できると、映像への理解もより深まる気がする。この点は、映像を観る前にレクチャーを聴けてよかった

  • 宇宙に特別な場所はない
    • 「ビッグバン」はどこか特別な1点から始まったのではなく、「どこも同じ状態」から始まった
    • 一般的にはそのような画像/映像表現がとても多く、そうではないことをなんとか表現したかった

製作者コメント

監督 清水崇さん

  • 栗先生と関われたことで、またこの映像を制作することで、子供の頃の「宇宙はどうなっているのだろう?」という気持ちを持ち続けられた
  • 子供の頃に戻る体験ができた

ビジュアル・ディレクター 山本信一さん

  • 「万物とはなんだろう?」は、物理の世界だけでなく、アートの世界でも究極の問い
  • 1年間格闘し、今の自分なりのベストを表現できたと思っている

この分野をさらに深く知りたい場合

レクチャー中、いいタイミングで(=適切なタイミングで=講演内容に即して)大栗先生自著の紹介が挟まる。

語り口を聞けば想像できるように、なるべく平易な言葉で語られていて、たしかに読んでみようかなと思われてくれる

強い力と弱い力 ヒッグス粒子が宇宙にかけた魔法を解く (幻冬舎新書)

強い力と弱い力 ヒッグス粒子が宇宙にかけた魔法を解く (幻冬舎新書)

重力とは何か アインシュタインから超弦理論へ、宇宙の謎に迫る (幻冬舎新書)

重力とは何か アインシュタインから超弦理論へ、宇宙の謎に迫る (幻冬舎新書)

大栗先生の超弦理論入門 (ブルーバックス)

大栗先生の超弦理論入門 (ブルーバックス)

そして、最新の日経サイエンス「大特集 重力波」にも大栗先生の寄稿がある:

これから観たい場合

公式サイト

「プロダクションノート」や科学的視点での解説(といっても一般向けの内容になるはず)がそのうち公開される予定

予告編動画(約1分40秒 音が出ます)

  • 大まかなイメージをつかめる
  • ネタバレ内容はなく、事前に観ても観なくても大丈夫
  • さすがというか当然というか、映像の中でも「これは‥!」という部分は含まれていないのでそこはお楽しみに