always one step forward

思いあふれてわかりにくい


Img_0242



10月に届いてそのままにしていた「ねんきん定期便」を危うく処分しそうになったので、あらためて目を通してみた。定期というからには定期的に届くのかと思いきや、年一回、誕生月に届くもののようだ。要は「あなたのこれまでの加入期間はこれです」「これだけ支払いました」などのことを伝えてくれる内容で、社会人になってからの月収や賞与が一覧表になっていて、けっこう感慨深い。個人ごとに異なるこの帳票部分は、複数枚にわたるものの、シンプルでわかりやすい。





しかし、万人向けに作成されたと思われる「リーフレット」なる説明書きがひどくわかりにくい。1ページの中に、別々の担当者が「わかりやすく、わかりやすく」の思いをあふれさせて、フォントの種類や大きさや色を自分の思い思いに使い、合わせてみたら全然バラバラだったという体裁だ。よく見ると、まったく同じ内容が、違う場所に違う文字色で書かれているところもある。家電の取扱説明書などは、その分厚さは敬遠されがちであるものの、老若男女を対象にした工夫がかなりあって感心することが多い。この手の資料は "もっと老若男女" を対象にしているはずなのに、そういう工夫が見られないのが残念。





企業の四半期報告書であればその企業イメージに、雑誌であればその売り上げ部数という評価軸があるいっぽう、この種の成果物は「みんなに送るまでが仕事です(送ったら完了)」というもののはず。競争のない環境で、どれだけの品質や付加価値 − この場合は見やすさ、わかりやすさ − を求めるのか、という点に気づけないむずかしさもあるのだろう。仕事でこういうドキュメント化に近い作業を行うこともあるので、表現や体裁の一致など、内容を伝える以上の気配りも気をつけないとなと思った。