always one step forward

ラリー・クラウン Larry Crowne

グアムからの帰国便で観た。日本語情報があまりなくマイナーっぽいけれど、ほのぼのできるいい作品だった。リストラにあってしまうこと自体は、世界中どこであっても unhappy な出来事に変わりはない。けれどふさぎこむことなく、前向きに新たな道を開拓して、新しい出会いや経験で、(見方によってはリストラ前よりも)豊かな人生を得ていく。「現実はここまでうまく行くかな?」とも思ったが、要は、気の持ちようが肝心、仲間を大切に − 監督としてのトム・ハンクスさんが描きたかった内容がきれいにまとまっているように感じた。


リストラにあった中年男性が、人生の再スタートに選んだコミュニティカレッジという場所。冒頭からこれが登場し、いくつかの物語の起点になっている。勉強したい人は拒まず受け入れ、比較的手頃な学費でどうぞ、と再出発を支援する受け入れ場所として描かれている。失業率、若者の教育ローンの滞納率が上昇しているアメリカだからこのようなストーリーが描かれたのかもしれない。ジュリア・ロバーツさんの親しげな美しさに見とれつつ、序盤と最後の表情の違いに「さすがプロ」と思いながら、ふと、こういうカレッジが日本でも増えていくのでは、そうなるといいな、となんとなく思った。失業してしまった(けれど、勤勉の意志がある)人の受け皿としてとても適しているなと思ったからだ。


単純には2年生の短期大学で、日本のそれとは少し立ち位置が異なるものの、日本でいう短期大学卒業と同じ資格が得られ、4年生大学への編入もしやすい。日本からの留学先としても人気のようだ。日本そのものにコミュニティカレッジなんてないよなと思って調べると、

  • 上智大学が同じ名前で「公開講座」を開講している。ちょっと違うか。
  • 岩田屋、西武などいくつかの企業が「コミュニティカレッジ」という単語を使っているが、駅前カルチャースクール・生涯学習センター、という名目のようだ。それが悪いとは決して思わないが、これもちょっと違う。
  • 東海大学がハワイに学校を持っている。アメリカの制度にのっとった学校で、老後にハワイでのんびり勉強したい場合はいいかもしれない。

この映画と全く同じようなものはちょっと日本には見つからず、まあそういう場合はカルチャーセンターや大学へどうぞ、ということなのだろう。