2014年8月、東京の夏、私的四題
いわゆるお盆の週末。暑さは普段と同じだけれど、いかにも東京、またはいかにも日本、という真夏の空気を各所で感じられた。という内容を忘れないうちに:
8/15 千鳥ヶ淵戦没者墓苑
皇居周りをたまに走るようになって1年弱。千鳥ヶ淵付近もよく通る。「8/15 8時〜13時、全国戦没者追悼式のため、代官町通りでは警察官が歩行者・ランナーへの交通規制を実施することがあります」の掲示を見かけた。
特別な思いはそう強くないものの、皇居周り、千鳥ヶ淵、九段下、とこの辺り一帯が身近になったことから、8/15に参拝をしようと思った。日本武道館で行われた追悼式へは(おそらく混んでいただろうという読みもあり)参加せず。同じく行ったことのない千鳥ヶ淵戦没者墓苑に参拝してみようと思った。
- 緑に囲まれた閑静な墓苑だった。特定の人々でなく、あの戦争で、海外で亡くなられた方が眠っている場所。やはりこの日だからか参拝客も多く、しかしとにかく、静かな場所だった
- 戦没者数一覧図。東アジア、東南アジア、樺太
- 当時の国家の進む道、"国体"と表された体制、国内外を見据えた諸方面の思惑。それらはどうあれ、生んだ結果そのものはもう変えることができない。つまり肯定も否定も本質的な意味はない。平和に生活できている現在に感謝するだけ
- 普段走っているコースが赤い矢印。墓苑は青い四角の場所。コースから墓苑まで歩いてもおそらく10分弱か。近いと言えば近いけれど、コースを反れて向かうこともないわけで、感覚的な"距離"はけっこうあったように思う
- 千鳥ヶ淵はこんな形をしていたのか、と改めて見直すことも、この参拝機会がなければなかったと思う。小さいけれどいい経験だった
8/15 靖国神社
墓苑からの帰りに寄った。道路を行進する国旗を持った人々、これでもかと多数出動の警視庁皆さん。政治色強くも語られるこの神社、この日に日本でもっとも注目される神社だろう
- それだからか、参拝する人の数が多かった。15時前だったけれど、写真では、参拝待ちの列が100-150人ほどできている。まあいいか、と並ばず、遠くから拝むにとどめた
- 年々、戦犯を祀る社に参拝するとは何事だ、という論調も減ってきている気がする。「政治家が参拝した、公人として?私人として?」のようなしょうもないやりとりも
- 思えば小泉総理が堂々と参拝していたあの頃が、ここ10-20年での話題のピークだった気がする。2001年の公的参拝を機とした訴訟、最高裁が憲法判断を避けるくらいの高度な政治問題。そしてあの頃はきっと、この神社周りも熱かったことだろう
- 個人的には、信教の自由が憲法でうたわれた国なのだから、何に参拝し、何に参拝しなくても、全くそれぞれの自由ではと感じる
8/17 富岡八幡宮例祭
これは(観ている分には)かなり気持ちいいお祭りだった。連日行われるお祭りの最終日、三年に一度だけ、各町神輿連合渡御が行われる。町ごとに美しく色分けされたはっぴをまとう人々が、神輿をかついで練り歩く。
道行く人が神輿+かつぐ人に「水をかける」習わしになっていて、近所の消防署が消防ホースを持ち出して、数mの高さのシャワーのように水を浴びせる。写真で雰囲気をどうぞ:
古くからの習わしを現代の人々が継承して楽しむ、そして観ている人を楽しませる。これぞクールジャパンというか、歴史的な日本の風土として堂々と海外へ紹介できる祭りではと感じた
8/17 コミケ(コミックマーケットC86)
ここで何が行われているかもよく知らず、興味もあまりなく、おそらく一生訪れることも無いだろうと思っていた。けれど、10万20万と人を集めるその"空気"はいったいどんなものだろう、という興味もあった。でちょっと行ってみた。
- りんかい線国際展示場駅から東京ビッグサイトへ向かう。14時過ぎの炎天のもと、人だらけ。なんじゃこりゃ
- ただこの左下の人々は、何かを待つ別の行列だった。会場自体へは、その右側をまっすぐ進むと、特に待つこともなく入れた。通常、昼12時前後に一般入場が解禁され、自由に出入りできるらしい
写真はあまり撮っていない。どうやら自由に撮影できる場所ではないらしく、カメラを構える人がほとんどいなかった。何でもありの空間かと思いきや、一定のルールをみんなで守っている、まじめな雰囲気が伺えた。
同人誌、文房具など各種グッズ、自作CD、など、種別ごとに区画整理されたスペースにパイプ椅子が置かれ、「ここで何かを売りたい」人々が、「ここで何かを買いたい」人々を座って待つ、という空間だった。
参加者は、売る人も買う人も、見た感じ10-20代が多い。まあでも40代らしき人も"現役"で、外国人もけっこういる。アニメ系ばかりかと思っていたら、化学などサイエンス寄りのものを売るコーナーもあって、要は巨大なフリーマーケット?とも思えた。
盛り上がりが年々なくなっている「家電の見本市」CEATEC JAPANに、一部でもこういう雰囲気のスペースがあると、これはこれで興味もって人が集まるのではとも感じた。BtoBやBtoCとこだわる時代でもなく、小林幸子さんがそうしたように、楽しそうと思える場所に参加し、全力で楽しんでいる姿を見ると、人は集まるのではと思う