always one step forward

ボーン・レガシー

ボーンシリーズ三部作の続編、とは期待せず、踊る大捜査線における「交渉人 真下正義」のようなスピンオフとしてみると楽しめる。三部作とはほぼ全て異なる登場人物の描き方も丁寧で、入り込めた。若干無理な設定、つっこみどころはいくつかあるけれど、全体としてはいわゆるボーンシリーズの"型"にはまっていて、そんなに不満なく観終えられた。(以下ネタバレあり)


映画『ボーン・レガシー』ウェブ特別版予告編

"型"=「なぜか主人公が逃げる必要が出てきて〜諸事情から途中で女性が一緒に逃げることになり〜最新技術で現在位置が突き止められ〜追っ手がくるもやっつけてうまく逃げ通し〜逃げる途中で主人公が苦悩し〜人だかりの中を逃げ回り〜最後はカーチェイス」…たいていの流れはこれで説明できてしまう。ボーン・フレームワークといってもよい。登場人物や国家側(悪者側として描かれる)の人間模様が三部作とは異なり、染色体、薬、他の計画、など散りばめられているキーワードも異なるけれど、今回もあらためて見返すとこんな流れだった。


偽造パスポートや社員証をつくる作業が細かく描かれていて、どうでもいい点だけどちょっとうれしかった。機内の座席ポケットにある「安全のしおり」的な厚紙のフィルムをはがし、写真の上に貼る。着いたホテルの部屋でそれを圧着させるため、インスタントカメラを分解して電極をつなぎ、シャッターを何度も切って電気を取る。科学の知恵を活用して何とかする、という、昔で言うマクガイバー的なシーン。


1点、レイチェル・ワイズ(けっこう好き)が演じるマルタ博士が家で"尋問"されるときに「スパイだから‥」と言われるくだりがあった。このことが最後までひっかかって消化不良。主人公を裏切ることはなく、スパイの動きはしていなかった。翻訳ミス?と思えるくらい。何に対するスパイだったのだろう。