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always one step forward

IT寄りの日常・IT以外の日常。ランニング。美術展や展示会感想。長文でもなるべく読みやすく構成する練習を兼ねています

2014年ノーベル物理学賞取材秘話 - 毎日メディアカフェ

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ノーベル賞関連取材に携わる現役の新聞記者による裏話を、けっこうしっかりと聴けた。

  • 授賞式や晩餐会に出席できる報道記者は12名だけ
  • そして今年は半分の6名が日本人記者
  • 取材スタッフは朝日、読売は複数。毎日は1名(予算の差。。)
  • 受賞式の会場ホテルと、受賞記念講演が行われる大学とはけっこう離れている

など、なかなか報道されない小ネタから、他メディアではおさえていなかった受賞者本人の表情や発言、取材において心がけていることまで、トピックの大小問わず知ることができて楽しかった。

ノーベル賞を長く取材し、昨年末もスウェーデンで開かれた授賞式を取材した科学環境部の千葉紀和記者が「ノーベル賞の表と裏」と題して講演。青色LED(発光ダイオード)開発の功績で物理学賞を受賞した赤崎勇さん、天野浩さん、中村修二さんの知られざる一面や受賞予想、準備の裏側などを、写真や取材秘話を交えて紹介した。

受賞理由

前半は scientific な視点で受賞内容、理由の解説。6割くらい知っていたけれど、じゃあ自分の言葉で説明できるか、となるとむずかしく、参考になった

  • そもそもLEDとは、発光ダイオードとは、という基本知識
  • LEDの発光効率は30%台(もっと高いと思っていた)
  • なぜ青色LEDで受賞か=白色LEDの実用化が達成できたから

青い光に魅せられて 青色LED開発物語

青い光に魅せられて 青色LED開発物語

知っていそうで知らないノーベル賞の話 (平凡社新書)

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後半は受賞関連取材の裏側について。

ノーベル賞取材の季節感

  • 7月ごろから準備取材を始め、10月の受賞発表、12月の受賞式、さらに「事後取材」まで含めると1年仕事とのこと

候補者の選定+事前取材

  • ‥と一般的に言われる候補者たち、のように、メディア各社はたいてい「受賞候補者Excelファイル」をもっているらしい
  • "前哨戦"といえる他の有力な賞をそれまで受賞しているか、などが基準(アカデミー賞に対するゴールデン・グローブ賞のようなものか)
  • そのファイル内での入れ替えも毎年数名単位で行う
  • 毎年7-8月に候補全員に取材依頼の手紙を書き、想定記事を綿密に準備
  • 受賞発表当日にはどこにいるか(連絡が取れるかどうか)を確認、などけっこう大変

受賞式当日前後

  • 受賞式、現地へは「取材に行けることが名誉」
  • わりと分刻みなスケジュールで微妙に忙しい。日本との時差もあり、寝てる間に電話が来たりする(これは、3名受賞というボリュームもあったのかも)

今回は天野教授が"予想外"

  • 発表当時パリにおられ、パリ支局にも協力を仰ぎなんとか連絡を取ったとのこと

代理戦争

これは全く知らなかった。受賞者3名が握手した写真が「画期的」と言われるのにも納得。

このような握手といえば、分野も文脈も違うけれど、PLOアラファト議長イスラエルラビン首相、クリントン大統領(いずれも当時)の1993年を思い出した:

Rabin and Arafat Seal Their Accord as Clinton Applauds 'Brave Gamble'

権威主義の象徴?

また、ノーベル賞の取材を通して、科学界の現状や科学技術政策に目を配ることができる利点がある一方、受賞を巡る過熱報道や現地でのメディア・スクラムなどの課題も挙げ、「背景にメディア側の前例踏襲と横並び意識がある」と指摘。「日本の受賞者も20人を超えた。報道の在り方や受賞者に対する過剰な権威付けを再考する時期ではないか」と提言した。

  • この感覚を取材の当事者が持てるのはけっこう冷静だなと感じた
  • 記事を読む側としては、やっぱり読みたいから読む→読みたい人が潜在的に多い→複数メディアが"横並び"で報道する、はごく自然な現象と思う
  • 権威付け、というよりは単にノーベル賞の話題が好きな国民性だけがあって、そのように権威付けているのは結局は読者とも言える。でもそれでいいんじゃないだろうか
    • 「バラエティ番組がつまらない=視聴者が求める内容を考えて作っている=番組の質は視聴者が決めている」と似た構図

ノーベル賞と日本人 (別冊宝島 2083)

ノーベル賞と日本人 (別冊宝島 2083)

人間を描く

天野教授や、あの中村修二教授へ密着、本人やご家族の単独インタビューで思いを聴き、表情を撮る、という取材スタイルのようだった。そしてこんな記事が生まれる:

取材ツールとしてメールや電話、skype等は使用可能ではあるけれど、このような通信の世界のだけで生まれる記事では到底なく、やっぱり人間を描けるのは人間(=プロの記者)だけ、ということがよくわかる

山中先生の関連だけれどこんな書籍もあった:

素顔の山中伸弥-記者が追った2500日-

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おまけ

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  • そもそもなぜこのような(たいていは無料の)イベントを開催しているのだろう?
    • CSR関連のトークや取材記事も多い。この手の活動はともすれば「手段の目的化:開催実績をつくるために開催している」雰囲気になりがちだけれど、このように一般参加者へ何らかの経験を還元してくれるのはとてもよいことだと思う
    • まあやっぱり最後のEXITとしては「新聞の知名度向上、販売部数増」なんだろう。この千葉さんとはお話もできて親近感が出たし、「記事を見つけたら読んでみよう」と思ったのは確か

新版 CSR経営戦略: 「社会的責任」で競争力を高める

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社会的責任のマーケティング―「事業の成功」と「CSR」を両立する

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  • 向かいはランニングステーション「Run Pit」だった
    • 2-3回行ったことがある。すぐそばの「気象庁前」交差点を渡ると皇居コースに入れ、小さい広場があるのでストレッチや待ち合わせに使える。男女更衣室外に休憩用座席カウンターがあるのはポイント高い

「走ってみたい」と思っちゃう本

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しかし「バイブル」まででているとは

参加記念にいただいたポスター

ノーベル財団謹製、スウェーデン語(読めない)による大判ポスター。イラストからは、専門的な内容を広く(スウェーデン)国民向けに説明する内容のようだ

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