機械化され得る仕事、され得ない仕事
一言で言えば、久々に理容店に行った話。
カットだけの店
これまで、\1000でカットだけしてくれる近所の小さな店(QB HOUSEではない)で切ってもらっていた。
- 「全体を1cm半くらい、横と後ろはバリカンで、上は立つくらい」
とだけ伝えると、ささっときれいに短くしてくれるので気に入っていた(今も気に入っている)
終わったら掃除機的なもので頭をさあさあと"掃除"され、切り残した髪を吸い取ってくれる。気になるなら洗髪は家でどうぞ(その分安いです)というスタンス。
理容店
子供の頃はずっと理容店だった。いわゆる「散髪屋さん」。その頃を思い出したかどうかは憶えていないけれど、久々に理容店 - つまりシェービングとシャンプーもやってくれる店 - に行ってみようと思った。
近所に何店かあり、だいたい\3000弱。なんとなく、外から眺めて、お客が何人か入っているところにした。しばらく切っていなかったので長めに切ってもらおう。
待つことなくすぐに座席へ。
- 理容師さん「カードはお持ちですか」僕「いや、今日が初めてです」
- 僕「全体を2cmくらい、横と後ろはバリカンで、上は立つくらい」
理容師さん「はい」の一言があり、そこから淡々と作業が始まる(以下、理容師さんの言葉には職人の"職"をつける)
しゃきしゃきとハサミが鳴る。手の動きは粗いように感じたけれど、決して乱暴ではない。
しゃきしゃき。バリカンもあり。そしてしゃきしゃき。
- 職「もみあげは普通に落としちゃっていいですか」「お願いします」
カットがつつがなく終わった。自分の斜め後ろにミラーが。前面のミラー越しに、「首筋、えり足部分の仕上がりをご自身で確認して下さい」のサインである。左後ろ、右後ろ。僕「ありがとうございます」
シャンプーへ。首回りに防水カバーを巻かれ、座った体勢のままシャンプーで頭をもみこまれる。こんな風に洗ってもらうことは日常では無いのもあって、けっこう気持ちいい。そして洗い流しへ。
- 職「こちら(シャンプー台)にお願いします」「はい」
慣れた手つきで洗い流される。てきぱきしているけれど、やっぱり乱暴さはない。体を起こし、タオルで水を拭き取った後、
- 職「ヘアトニックつけますか〜」「あ、いいです」
シェービングへ。仰向けで寝る体勢に。クリームをつけてしょりしょり。カミソリの動きに無駄がない。
- 職「頭に何かつけますか?」「じゃあムースお願いします」
- 職「ソフトとハード、どちらにしましょう」「ソフトで」
黙々とした時間と思っていたけれど、書き出してみるとけっこうやりとりしている。日常会話は無い。こちらから話しかければ答えてくれるだろうけれど、手短に終えてほしい気持ちもあり、まあいいかと遠慮したのもある。
ともかく、途中から「職人」と書いたように、必要最小限の作業で、しっかり"最終納品"を仕上げる仕事を目の前にできたのだった。
帰り際に、このページ冒頭の写真のような会員カードを渡される。カットの希望が書き入れられている。「次回お越しの際は、(極端に言えば何も言わなくても、)今回のように仕上げます」というスタンスの表れである。たいてい、毎回同じようにカットしてほしい客がほとんどのはずで、リピーター獲得効果は大きいだろう。
機械化される仕事?
この1年くらいから、何か店で買ったり、サービスを受けるとき、「この仕事は将来、コンピュータに置き換わるだろうか」と考えることがある。しかし今のところ、たいていはNOで、何かしら、人間しかなし得ない技術・サービス精神が含まれている。
自動車が文字通り「自ら動く車」になる自動運転技術、ロボティクス、自律フィードバック制御、機械学習、等々が発達してはいくだろう。しかしそんな時代になっても、あらゆるサービスが、ATMや切符販売機のように置き換わるか?というと、そうでもないなと感じた。そんな散髪だった(、、さすがに大袈裟か)
このテーマは、ITだけでない側面を想像しつつ、もうちょっと洗い出すのも面白い気がするので、気が向いたら考察+追記予定