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2015/09/05 副島正純さん(東京マラソン 車いすレースディレクター)講演会

レース用車いす

同じ日の午後に手話の講習もあり、この午前の講演も面白そうだったので参加した。

終了後はレーサー(レース用車いす)試乗に合わせて、ご本人とも少しお話できてよかった。

10回記念大会となる東京マラソン2016(平成28年2月28日(日)開催)から、車いすレースが国際化し、海外で活躍する車いすのトップアスリートが参加する予定となっており、冒頭では「レベルの高い選手が集まることで、より迫力のある白熱したレース展開になると思うので、是非実際に見て欲しいです。」とコメント。

これまでの挫折や苦労、家族への感謝の気持ちを話し、「自分自身、車いすレースを通して色々な人に声を掛けてもらうことが増え、多くの人に支えてもらってきました。今度は、自分が誰かを支える存在として、若い選手がチャレンジする機会を増やしていきたい。」と締めくくりました。

という内容が全てだけれど、印象に残った部分のメモを:

講演会会場

スポーツレガシー事業

  • チャリティで集まった金銭を、選手支援や設備面支援へ
  • 都内のランニングコースに等間隔にチップを埋め、時計無しでも測定できるようにする

最初はこの話が早野忠昭レースディレクターからあった。

チップを埋める話は、まあどのエリアまでが対応するかはわからないけれど(最初はJOGPORT周りだろう)、けっこう面白い気がする

スポーツレガシー事業とは | 東京マラソン財団 スポーツレガシー事業

■スポーツの礎(環境整備)

スポーツ施設などの環境整備

ランニングを含むスポーツ全般の普及を目的に、ランニングコースやスポーツ施設などの環境整備に役立てます。

以降は副島さんのお話。一部は司会進行の方も混じり、いいコンビネーションだった。

車いすランナーから見たマラソンコース

  • 東京マラソンのコースはきれい
    • ロンドン、NYシティは石畳が多く、ところどころある穴を急場しのぎで埋めた箇所もちらほら
    • 車椅子だとパンクがあるとレース上は致命的

諦める→受け入れる

  • 仕事中、300kg鉄板の下敷きに → 脊髄損傷
  • 人生を諦める時期が続いたが、諦める→受け入れる、と考え方を変えてから徐々に人生が楽しくなってきた

2011年ボストンマラソン

  • レース参加する資金の捻出
    • 夫婦で相談し、大事なプラチナネックレス、そして2007年東京マラソン賞品のデジカメを質に入れた
  • 震災の年でもあり、ゴール後に日本国旗を掲げる目標があった
  • 残り700mで先行ランナーを抜き、優勝できた

ボストンの話は感動した。

【主な成績】 2007~2009、2011、2013 東京マラソン優勝

2005~2009、2013、ホノルルマラソン優勝

2007、2011 ボストンマラソン優勝

2007、2010 ベルリンマラソン優勝

2011 ニューヨークシティマラソン優勝

など、名だたる国際レースで優勝歴がある。つまり、単なる車いすランナーではなく、明らかにtalentedな人である。

しかし、その驕りを感じないというか、そのとき感じていたことを実直に語る、という雰囲気がにじみ出ていてよかった

レーサー(レース用車いす

  • 重量は7-8kg
    • すべてアルミ製。タイヤ周りはカーボン
    • すべてカーボン製のモデルもある(軽量かつ強靭、高価)

講演後に実物(アルミ製)を触れるコーナーがあった。大きさを考えると、とても軽く感じた

  • ハンドルは、手を離すとまっすぐにもどる
  • ブレーキは前輪にだけつけられる
  • 荷重は後ろにあるため、急にはとまれない

ハンドルはよく考えられている。ランナー自身はカーブで曲がるときだけ操作すればよく、まっすぐに戻す操作が不要

ボランティアの方へ>知っておいてほしいこと

  • レーサーを運ぶときは、前輪を持ち上げて運ぶのがよい
  • グローブはレーサーと一心同体。もし落ちてたら確認を
  • 気を使う前に「何を希望しているか」聞かれるとうれしい

実際、ボランティア活動中にこのケースを体験することはないかもしれない。

ただ、3つ目はどんな場面でもそうだろうなと思った。何らかのハンディキャップ(ご老人、妊婦さんを含む)を持った人に適した接し方と思う

東京マラソン車いすレースディレクターとして

  • 車いすレースを、いろんな人に知ってもらいたい
  • 参加者にチャンスを広げたい。東京で国際化レースを開催できるようになってよかった

あと、「レース中はほとんど下を向いているので、景色はほとんどわからない」というのはちょっとおもしろかった。いくらなんでも、ちょっとの下り坂などで手を休めることはあるのでは、と思ったけれど、トップランナーはそんなことないようだ

ともかく、車いすレースの見方を間違いなく変えてくれる時間だったことは確か。

東京マラソン 女性レース

土田和歌子 - Wikipedia

土田和歌子さんの「一強時代」が現在も続いている。2008年から2015年まで8連覇。

東京マラソン2016から国際化されるため、海外の有力選手が参加するだろう中、土田さんが何位に入ってくれるのかも期待

今を受け入れ、今を越える。~車いすマラソン世界記録保持者の「前に進む言葉」

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車いすマラソン―大分から世界へのメッセージ

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