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2017/02/18 三浦佑之教授 - 三浦しをんさん親子対談

貴重な親子対談。要事前申込ながら無料で聴ける、ということで五反田の立正大学へ赴いた。仲良し親子による、フランクだけれど鋭い文学対談を聴けて楽しかった。

※ 2018/9:テキストメモが今頃見つかった(たまにあるこのケース、、)せっかくなので書き残しておきます^^;

予備知識

  • 概要は下記ページの通り
  • 率直に言えば、佑之教授のことはこの対談で知ったし、しをんさんが話す(動く)ところを見るのもこれが初めてだった。ありがちだけれど、「ああ、こういう声の人なんだ」という新鮮さもあった

立正大学文学部の三浦佑之教授と、作家の三浦しをん氏の親子対談が実現します。

上代文学・伝承文学の研究者として、その著作にファンの多い三浦教授と、直木賞作家のしをん氏。何度も『競演』されているのかと思いきや、実は今回が初めてだそう。

三浦教授が本年3月をもって立正大学を定年退職されることから、後にも先にも今回限りの対談をお引き受けいただきました。

三浦教授の古事記にまつわる講演、親娘で交わす文学談議、文学一家の家庭事情…と、お二人の作品よろしく、硬軟自在なトークにご期待ください

前半:古事記から3トピック

  • 三浦祐之先生による、古事記の中/下巻から選ばれた3トピックの分析。資料が配布され、先生の説明を聴く
  • スタイルは完全に大学講義そのもの。古事記にあまり詳しくないけれど、古事記初心者向けに状況説明など工夫されていたように思う

後半:親子で対談

対談、といっても仲良し父娘の会話的雰囲気(あるいはムード)で、3トピックについてあれやこれや

  • 最初は二人ともメモに目を落としながら交互に話す。 おそらく打ち合わせを重ね、「次はこれ聞く」のようなタイミングの測り方。それぞれが少し緊張していたように見えた
  • しかし段々とほぐれ、普段の家族の会話に混ぜてもらったような感覚になった。終盤は口調がかなり似てきた。やっぱり親子だなあ(^-^)
  • 小説家として物語としてどうとらえるか、しをんさんの視点がどんどん飛び出しておもしろい
  • エンタメ小説に技巧の蓄積が必要、文学には"中二力"が必要、感性のきらめきは年齢低いときだけ、などなど

他の参加者の感想

しをんさんファンによるブログ。さすがというか詳しくまとめられている。当日を思い出すのに(かなり)参考になりました


その他雑感

あとはいろいろ考えたことなど

三浦佑之先生のWebサイト「神話と昔話」

神話と昔話−三浦佑之宣伝板−

  • ポータルサイトの形態。書作や論文リストへのリンク、エッセイや日々の雑記も豊富で、このページ全体が研究資産になっている
  • JustSystem Homepage Builderによる地道な力作。SNSやブログサービス全盛の中、自前でこのようにサイトを運用できることはいまは稀有なスキルに転化した気がする
    • (*) 昔はこれが普通だった、、時期的にはmixi登場前夜(2004年)までか mixi - Wikipedia

同年代の作家

  • 三浦しをんさん、万城目学さん、平野啓一郎さん。自分と同年齢・同世代の作家になんとなく気が向いていて、読む本は彼/彼女らの作品が多くなっている
  • 著名作家であり世に残ってきた作品も多く、たとえば10年前くらいに刊行された作品からしてかなり豊富に選択肢がある

あげたらきりがないけれど、

風が強く吹いている (新潮文庫)

風が強く吹いている (新潮文庫)

舟を編む (光文社文庫)

舟を編む (光文社文庫)

蜜蜂と遠雷

蜜蜂と遠雷

古事記への思い

  • 探求しがいのある壮大な相手、愛すべき古事記への思いは「コジオタ(古事記オタク)」自称(他称?)までに至る

  • 壮大な神話の世界であり、内容解釈そのものが「講義」として成り立つ
  • 言葉だけが残るということは、例えば「あめ」と書かれた部分がどの程度登場し、それぞれどう解釈しうるか?などで論文が書けそうである

古事記講義 (文春文庫)

古事記講義 (文春文庫)

翻訳者文学

アリストテレース詩学/ホラーティウス詩論 (岩波文庫)

アリストテレース詩学/ホラーティウス詩論 (岩波文庫)

  • 以前にアリストテレス詩学」をがんばって読もうと文庫を買うと、訳注が本文と同じくらいの厚みを持っており、訳注(の集まり)そのものがりっぱな文献になっていた
  • そこには翻訳者の考察や分析がとめどなく連なっている。一冊読むだけでは到底翻訳できず、同時代の他作品も精読が必要、という難解さ

古代文学

  • 古代文学全般(というと範囲が広いとご本人に指摘されそうだけれど)をカバーし、下記のような著作もある
  • 古事記解釈もこういう作業に近いのかな?と思う

日本古代文学入門

日本古代文学入門